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病気・予防接種

Q. 新生児仮死の疑いで脳の検査をしたところ、3か所に細胞の壊死がありました。 (2016.3)

  • (妊娠週数・月齢)1か月

新生児仮死の疑いにより脳のMRI検査をしたところ、3か所に細胞が壊死した所見があり、運動機能を司る部分が含まれるため「運動機能に障害が残る可能性あり」と診断されました。41週に緊急帝王切開にて出生、すぐに泣き始め、アプガースコア1分後8点、5分後9点だったものの、出生前30分間にわたり心拍が100前後に低下、臍帯血のpHが7.05だったためNICUに緊急搬送となりました。NICUでも元気でしたが、脳のMRI検査で前述の結果が出ました。脳波は異常なく、けいれん等は起きていません。生後1か月を過ぎて赤ちゃんは順調に成長していますが、1か月健診では現在の手足の動きはあくまで反射によるもので、今後手足の関節がかたくなる、嚥下に障害が出る可能性があると言われました。
「MRIの所見がある=何らかの後遺症は残る」という意味なのか、そこまで深刻に考えなくて良い(何事もなく育つ可能性もある)ものなのか、今後考えられる経過や発育への影響についてお教えいただきたいと思います。

回答者: 板橋家頭夫先生

 たいへんご心配ですね。比較的アプガースコアが良好であったことから考えますと、分娩に伴って起きたMRIの異常所見ではなく、本格的な分娩が始まる前に子宮内で、既に脳内で何らかの異常が発生していた可能性も否定できません。

 いずれにせよ、現時点で哺乳力がしっかりしているのであれば、今後哺乳に問題が出てくる可能性は低いのではないでしょうか。また、おそらく脳性麻痺のことをいっているのではないかと推測しますが、「手足の関節の動きがぎこちなくなる可能性」については、やはり経過を診て判断するほかないと思います。

 病変部位が運動神経の伝達路である錐体路(すいたいろ)にあるために、主治医がそのように説明されたのではないかと思いますが、今後お子さんが確実に脳性麻痺となるかどうか、さらに、もしも脳性麻痺となったとしてその程度はどのくらいか、現時点で正確に予測することは難しいと思います。また、ご相談の赤ちゃんの脳MRIの所見についても正確に把握できておりませんので、これも予測が困難な理由です。

 脳MRIの病変の存在がお母さんにとってとても心配なことであることは、十分に理解できます。しかし、だからといって家庭でお母さんがお子さんを医療者のような眼で観察していては、あらゆることが不安につながり、育児自体がつらいものとなってしまいます。

 疑問に思ったことや不安なことは定期的なフォローアップ外来の際に主治医に十分に説明してもらうこととし、かけがえのない日々を後悔することがないよう、いま目の前にいるお子さんに十分な愛情を注いであげてください。