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出産について

Q. 生後0か月。出産前の、赤ちゃんの心拍数低下の影響が心配です。 (2016.10)

38週2,670g、帝王切開で出産しました。予定日よりも1か月ほど前におなかの張りがひどくなり、そのまま入院することになりました。NSTでは、赤ちゃんの心拍数が一瞬低下したりしていました。何日か経って、張りが落ち着いたので陣痛促進剤を使っての検査をしたところ、心拍数が60〜70の状態が1分以上続くなど、やはり心拍数の低下がみられたため、帝王切開で出産することに。そもそも、心拍数が低いとどういったことが考えられるのでしょうか? 自然分娩ではなく帝王切開の方がよかったのはどうしてでしょうか? 出産後の赤ちゃんに、心拍数が少なかったことで何か悪い影響がないのかと心配です。

回答者: 安達知子先生

 結論から言いますと、今回の予定日に近づいた時期での、おなかの張りに伴う胎児の一過性の心拍数低下は、生まれた赤ちゃんに悪い影響を与えないでしょう。

 胎児心拍数の一過性低下にはいろいろな原因が考えられますが、大きく分ければ、臍帯因子と胎盤機能低下(不全)だといえるでしょう。妊娠高血圧症候群や胎児の発育不全を伴うような胎盤機能不全でも起きることはありますが、頻度の高いものは臍帯因子と呼ばれるものです。臍帯因子は、臍帯が、胎児に複数回巻き付いていたり、あるいは子宮の壁と胎児の体の間で圧迫されたりしているものが多いです。臍帯の中を走る血管が圧迫され、血流が悪くなると、胎児に酸素不足が起きます。その結果、胎児は苦しくなり、心拍数が低下しますが、これらは、子宮が収縮した時、すなわち、おなかが張ったと感じる時に一過性に起きるだけで、すぐ回復します。臍帯が胎盤の端や胎盤から外れた卵膜に付いていたり、羊水が少ない、臍帯の長さが短い、螺旋状に捻転している臍帯の過剰な捻転や過少の捻転も、臍帯因子となりえます。実際におなかの張りが落ち着いている時は、心拍数はほとんど低下しません。しかし、陣痛が始まると周期的に子宮が強く収縮するので赤ちゃんの低酸素状態がひどくなり、危ない状態になる可能性があります。そのため、薄い濃度の収縮剤を用いて、子宮が軽く収縮した時に、胎児が大丈夫か否かの試験をしたのだと思います。オキシトシンチャレンジテストという名前もついており、この試験で心拍数が低下すれば、安全な分娩方法として帝王切開が選択されます。担当医からの説明はあったと思いますが、わかりにくかったり、不安なことがあれば、きちんと再度説明してもらい、納得して出産し、安心して子育てしていただくことが大切です。またそれは、医師も希望するところです。