病気・予防接種
Q. 生後2か月。おしりの割れ目の上のへこみを指摘されました。 (2017.9)
- (妊娠週数・月齢)2か月
先日、子どもの2か月健診で、先生にお尻の割れ目上のへこみを指摘され、「へこみ方は平均くらいだと思うけど、小さすぎてまだ分からないから、次の健診で必要があれば、大きい病院を紹介します」と言われました。
小さなへこみのため、医師に指摘されるまで私自身気づきませんでしたが、とても心配になっています。通常へこみはないのでしょうか? 次の健診で大きい病院を紹介された場合、どのような病気の可能性が出てくるのでしょうか? 想像がつかなくて不安です。
回答者: 板橋家頭夫先生
ごくわずかなへこみは、とくに異常がなくともしばしばみられます。実際にお子さんを診察したわけではないので正確なことは言えませんが、先天性仙骨皮膚洞(毛巣洞)や脊髄脂肪腫、潜在性二分脊椎症の有無が問題となると思います。以下、それぞれについて簡単に説明します。
1)先天性仙骨皮膚洞(毛巣洞)
臀裂(おしりの割れ目)の上方の正中部に生まれつきへこみや穴がみられます。周辺に全く変化がないものから、毛が生えていたり、発赤や皮膚の膨らみがある場合もあります。皮膚洞が脊髄の外側を被う硬膜まで達している場合は、髄膜炎のリスクが高くなります。その他、ある種の腫瘍(類皮腫)を合併することもあります。通常、下肢の動きが悪いなど神経学的な異常がない場合がほとんどです。
2)脊髄脂肪腫
皮下と連続した脂肪組織が、脊髄が通っている脊椎の管内に侵入した状態です。脊髄脂肪腫では、臀部の上方の腫瘤がみられることがしばしばです。その他、肛門上方のへこみや穴、血管種(あざ状のもの)、異常な毛髪などを認めます。出生時に下肢の筋力の低下などの神経症状を認めることは少ないようですが、やがて認められるようになります。
3)潜在性二分脊椎症
本来ならば脊椎の管の中にあるべき脊髄が、脊椎の外に出て癒着や損傷しているために起こるさまざまな神経障害の状態が二分脊椎症で、潜在性二分脊椎症は、脊柱管の外に出ている脊髄が皮下にあります。しばしば肛門上方のへこみや穴、血管種(あざ状のもの)、異常な毛髪などを認めます。
これらの異常は、ともに臀部の上方に穴やへこみがみられることがありますので、お子さんに、はたして治療が必要な病変があるのかどうかを明らかにするには、MRI検査を行う必要が出てきます。とくに穴やへこみの周辺に皮膚の変化があるような場合には、早急に行った方がよいのではないかと考えます。いずれにせよ、小児科の医師や脳神経外科、あるいは整形外科の医師と十分に相談したほうがよいと思います。