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妊娠中の気がかり(体重・食事・病気・体調など)

Q. 妊娠23週。おなかの子がサイトメガロウイルスに感染していないか心配です。 (2017.10)

  • (妊娠週数・月齢)妊娠6か月 (20〜23週)

妊娠23週の妊婦です。10週の時、サイトメガロウイルスの検査をし、IgG陽性10.6、IgM陰性0.8未満でした。会社で職員検査をする機会があり、21週ごろにもう一度同じ検査をしたところIgG陽性19.9、IgM±1.00でした。20週ごろに風邪を引き、咳喘息になりました。
おなかの赤ちゃんがサイトメガロウイルスに感染していないか心配で、夜も眠れません。感染していたらどうなるのでしょうか?対策はありますか?

回答者: 安達知子先生

 サイトメガロウイルス(CMV)はとてもありふれたウイルスです。小児期にすでに感染していることが多いのですが、最近は妊婦の抗体保有率は70%程度に低下しており、妊娠中に初感染して、出生児に先天性CMV感染症を発症する可能性はあります。その頻度は母体が初感染したときに、約40%が胎児感染し、胎児に先天性の異常が出るのはそのうち10%くらいです。感染経路としては、保育園などで感染した上のお子さん(乳幼児)の唾液や尿などと接触することが多いので、接触した際によく手を洗うことや子どもと食器や食物の共有を避けることなどが大切です。大人が感染して発熱や肝機能障害などが出ることもありますが、無症状で経過することも多いといわれています。ですので、今回風邪をひき、咳喘息症状を起こしたのは、CMV感染とは関係のないものです。

 さて、今回妊娠10週時の抗体検査で、IgG陽性10.6、IgM陰性0.8未満でした。この意味するところは、過去にCMVにかかっていて(IgG陽性)、初感染ではない(IgM陰性)ということですので、ご心配はないと思います。21週ごろにもう一度検査をした際、たまたまIgG19.9は値が上昇しているように思えますがあまり意味はなく、IgMが陽性となっていれば再感染を考えますが、±1.00は偽陽性と考える低い値で、感染とは関係なくそのような値が出たと考えられます。再感染したとしてもそこから胎児感染する頻度も低く、感染した際に、障害が出る可能性は極めて低いと言われています。万一再感染を心配するのならば、再度検査をしてもらってください。

 念のため、先天性CMV感染症の症状は、低出生体重、視力障害、聴力障害、知的障害、水頭症、肝機能障害などです。妊娠中のエコー検査で注意深く水頭症や胎児発育をチェックしてもらってください。出生後には新生児尿中のCMV検出法もあります。胎児に対する治療はありませんが、出生後の治療としては、保険適用はありませんが、抗ウイルス薬が聴覚を含めた神経学的予後を改善するといわれています。