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出産について

Q. 3か月の男児。吸引分娩での出産でしたが、後遺症がないか心配です。 (2017.11)

  • (妊娠週数・月齢)3か月

7月に2876gの男児を出産しました。予定日を3日超過し、高位破水した翌日に促進剤を使っての出産です。子宮口全開して、胎児は下降したのですが、胎児の心拍が80台にたまに下がるとのことで、吸引分娩となりました。産後の経過は順調で、医師からの指摘は特に何もありませんでした。ところが先日「吸引分娩は、後遺症のリスクがある」ということを聞き、心配になってきました。脈が遅くなる徐脈がいけないようですが、徐脈はよくあることですか?私の出産の経過で後遺症が出る可能性はありますか?あるとしたら、いつどんなかたちで現れるでしょうか?

回答者: 安達知子先生

 吸引分娩は、胎児の頭部に吸引カップを密着させて陰圧をかけ、カップの柄を陣痛発作に合わせて牽引することにより、胎児を娩出させる方法です。①胎児の状態が悪くなる(分娩時に母体に装着している分娩監視装置で、胎児に徐脈や一過性徐脈などの所見が認められるとき)、②分娩第二期といわれる子宮口が全開したのちの分娩の進行が遷延あるいは停止しているとき、③母体の合併症のため、分娩第二期を短縮させる、などの適応で行われます。

 吸引分娩の後遺症は、母体に対しては、時に産道の損傷が深くなる、分娩時の出血が多くなる、などがあり、出生児に対しては、時に、頭を中心とした出血で、頭血腫、帽状腱膜下血腫、頭蓋内出血などがあります。

 今回、産後の経過は順調で、母体には特に問題はないようです。出生児についても、頭血腫や帽状腱膜下血腫は、頭蓋骨の外側の出血ですので、視診や触診でなかったことは明らかです。また、頭蓋内出血があれば、新生児の出血・貧血、けいれん、全身状態の悪化があったはずですが、これらも認めておらず、なかったと考えられます。通常吸引分娩を2~3回くらい行っても、これらの障害はまず出現しません。

 お尋ねの徐脈は、吸引分娩を行う「胎児の状態からの1つの適用」であり、吸引分娩をおこなったことによる出生児の後遺症とはまったく関係ありません。1か月健診でも問題ないようですので、吸引分娩と関係した後遺症はないと考えられます。