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妊娠中の気がかり(体重・食事・病気・体調など)

Q. トキソプラズマの検査にひっかかり再検査。なにか影響がありますか? (2019.1)

  • (妊娠週数・月齢)妊娠4か月 (12〜15週)

13週になった妊婦です。初めての妊娠なのですが、初期の血液検査で、トキソプラズマが陽性であり、12週のときに再検査しました。再検査の結果、すでに以前に感染しているとのことで問題なしとのことでした。以前の感染でできた抗体だとのことでしたが、妊娠前にできた抗体かどうかなどわかるのでしょうか? もしも妊娠中の感染だったら、どういうことが起きるのか、赤ちゃんに影響はないのか、何か治療をしなくてもよいのかなど心配です。

回答者: 安達知子先生

トキソプラズマは、病原性の原虫でネコを最終宿主として、ヒトを含む哺乳類や鳥類を中間宿主として感染します。妊娠前に感染していれば、問題はありませんが、妊娠中に初めて感染すると、母体に問題は生じませんが、胎児には先天性トキソプラズマ症を発症する可能性があります。日本の妊婦は7%くらいがすでに感染して抗体を持っていますが、1万出生あたり1.26人が先天性トキソプラズマ症を発症していると推計されています。新生児の所見は、水頭症、脈絡網膜炎や脳内石灰化などのほか、低出生体重児、小頭症、貧血、けいれんなどを認めます。

妊娠中の初感染かどうかを診断するには、通常、母体血の特異的トキソプラズマ抗体価を調べます。抗体には感染間もない時期にだけ陽性を示すIgM 抗体と、一度感染すると一生陽性を示すIgG抗体の2種類があります。2つの抗体が陰性であれば感染はしていませんが、一方でこれから感染する可能性に注意が必要です。IgMが陰性でIgGのみが陽性ならば妊娠前の感染で心配要りません。IgM抗体が陽性の場合はIgGとあわせて2週間後に再検査をし、その推移を見て感染時期を推測します。それでも不明瞭な場合は、IgGアビディティの測定をします。この結果、胎内感染が疑われれば羊水検査などの精密検査を行い、母体は抗菌薬を服用します。

ご質問の方は、12週の再検査で、恐らくIgMが陰性でIgGが陽性のため、すでに妊娠前に感染して抗体ができていたと判断されたのでしょう。なお、妊娠中の初感染の予防には、生肉や十分に火が通っていない肉を食べない、猫を触らない、砂場や土いじりなど猫の糞と接触する可能性を断つ、あるいはよく手洗いをするなどが必要です。