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妊娠中の気がかり(体重・食事・病気・体調など)

Q. 妊娠33週目。尖圭コンジローマと診断されました。 (2019.7)

  • (妊娠週数・月齢)妊娠9か月 (32〜35週)

現在2人目妊娠中、33週目となりました。先日、尖圭コンジローマと診断されたのですが、症状がひどいようで、場合によっては帝王切開になるかもしれないと言われました。1人目は自然分娩で産んでいます。2人目を妊娠したときに、おりものの状態が気になり、性病の検査をしてもらったのですが、そのときは何もありませんでした。主人には症状が出ていないみたいですが、私だけ感染するということはありえるのでしょうか?主人に症状が出ていないけど、実は感染していて、それが私にうつるということはありますか?今後の妊娠生活での注意点なども教えてください。

回答者: 安達知子先生

 尖圭コンジローマはヒトパピローマウイルス(HPV)の感染で起こる疾患です。子宮頸がんの原因ウイルスもHPVですが、尖圭コンジローマと子宮頸がんでは、原因ウイルスのタイプが異なります。

 性行為で感染することが多いですが、このウイルスはとても感染力が強いため、皮膚や粘膜同士の強い接触や指や爪などを介してでも感染します。症状が出現するまでの潜伏期は3週間から8か月ともいわれていますが、感染しても症状が出ない人もいます。ご主人には無症状でも、よく観察するとイボの病変があるかもしれません。泌尿器科受診を勧めてください。またずっと以前に感染していてそのときに症状が出ていなかったものが、妊娠中に免疫力の関係から発症し、重症化したのかもしれません。外陰部や肛門周囲のほか、腟内に広がっている可能性もあります。自覚症状は、陰部の違和感や軽いかゆみくらいですが、病変が鶏のトサカ状のイボや褐色の松かさ様に盛り上がった病変など、見た目にもあまりきれいな病変ではありません。

 最も心配なのは、分娩時に産道から新生児へ感染することです。児に感染すると、咽頭内から気管支までの気道内に、良性の乳頭腫と呼ばれるイボをたくさん作り、乳児期から幼児期の呼吸障害や、場合により気道の閉塞がおきる可能性もあります。外科的な切除を行っても再発しやすく、何回も手術が必要になります。

 成人の治療は、薬による治療と外科的な治療に分けられます。前者は、クリームをイボの上に週3回、1日おきに塗る方法で、4週間継続して効果を判定します。副作用として、塗った部位に炎症が起こり、紅斑、びらん、表皮剥奪、腫脹や疼痛などが起こることがあり、妊娠中はあまり勧められません。外科的な治療には、病変部に局所麻酔をして、切除、電気メスによる焼却、凍結療法などがあります。また、腟内などはレーザーで蒸散させる方法などを行います。どの治療法でも再発することはあります。

 現在33週であれば、電気メスによる焼却が行われると思います。病変が消えていれば、経腟分娩が原則となります。妊娠中にご自身ができることとしては、外陰部や肛門周囲を傷つけないこと、指や爪で触ったり、引っかいたりしないこと、よく手を洗うことなどです。