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Q. 妊娠中にうつになった妻。夫の自分がいまできることと、産後の対策を教えてください。 (2019.8)

  • (妊娠週数・月齢)妊娠8か月 (28〜31週)

2か月後に出産を控えた妻がいます。初期はつわりがひどく起きるのも大変で、いまも体調不良が治らず精神的に落ちこむ日が増えました。いまは4歳の子どもとともに妻の実家で過ごしています。妻はメンタルクリニックへ通っており、産前うつのような状態のため、帝王切開になるかと思います。「早く出産して効果の強い薬を飲みたい」と妻は毎日言っています。
義母は71歳と高齢で、過去に精神的な病になったこともあり、体力的にも精神的にもお世話をするのが限界となっています。私の実家は遠方で頼れません。わたしが仕事の日は18時ころから子の面倒をみたり、休日は子どもを連れて1日外出し、義母の負担を減らすぐらいしかできていません。出産後、私の育児休暇は1週間ぐらいしか取れないのですが、私の実家に世話になることは妻にとってストレスになるかと思われます。
産後も妻の状態がよくならなかったら、寝かしつけやミルクなど、とても対応できるとは思えません。私と子どもたちだけが私の実家で世話になっても、妻の不安が増してよくないと思います。子どもは幼稚園に通っており、転園はさせたくありません。このような状況で子どもを育てる場合の解決策と、妻や子どもに対しての対応の仕方について教えてください。

回答者: 帆足暁子先生

 厳しい状況ですね。いろいろな可能性を考えても、そのいずれもがマイナスの要因を含んでいて実現が困難なようですね。

 では、解決策を考えましょう。
 まず大切なことはあなたの妻が、どうしたいのかです。
このまま実家にいたいのか、自宅に戻りたいのか、もしかしたらあなたの実家を選択することもあるかもしれません。
 もし、このまま実家にいたいということでしたら、次に考えるのは、義母の負担軽減です。何が義母にとって一番の負担になっているかわかりますか?上のお子さんの世話でしたら、地域の一時保育や短期の保育所入所ができないかを役所に相談に行くことで日中のお世話はしなくても良くなるかもしれません。 

 それから、どうしたいのかわからなかったり、妻やあなたの側のどちらのサポートを受けるとしてもマイナス要因が気になってしまうとしたら、身内ではなく第三者にお願いすることもできます。幸い現代は子育て支援メニューがさまざまあります。もし、妻の実家で出産されるとしたら、その地域担当の保健師があなた方のサポートをしてくれます。保健師は、公的な機関や民間機関を含めて現状で実現可能な情報を持っています。妊娠期から出産後までもフォローして子育てをサポートしてくれるメニューを探してもらいましょう。上のお子さんの幼稚園の送り迎えや、赤ちゃんの寝かしつけ、ミルクの飲ませ方等を一緒にやってくれるメニュー等、あなたが心配なことや、やってほしいと思うことを整理しておくと、それに合ったメニューを紹介してくれやすくなります。あるいは、これからを予測していまから準備が必要なことを保健師から提案してもらうのも良いと思います。

 さて、次に妻やお子さんへの対応の仕方ですね。
 どちらも対応のキーワードは「安心感」です。

 あなたの妻は、「早く出産して効果の強い薬を飲みたい」と毎日言っているということですから、つらい状況の中にいると思います。それでも、生まれてくるお子さんのために、強い薬を飲まずにがまんされているのです。良い母親です。「精神的に落ち込む」とき「ありのままの自分でいいんだよ」と言われることで楽になることがあります。体調不良が治らずに精神的に落ち込むのはつらいだけではなくて、どんどん自分を否定してしまいます。でも、いまはそれでいいんだよと、言ってもらえることで、ほっとできれば、安心して気持ちが楽になるかもしれません。

 そして、子どもを出産した後のさまざまな心配事に対しても、サポートしてもらえることがわかると、それも大きな安心につながります。

 生まれてくるお子さんへの対応は、「ケア」という面を考えれば、地域の保健師からあなたの家庭に必要な子育てメニューを紹介してもらえれば、お子さんへの対応は任せてもよいと思います。子どもは社会の宝です。社会の力を借りることを積極的に考えましょう。
 そして、「安心感」という面を考えると、あなたがお子さんに関われるときは、たくさんかわいがってください。やさしく抱っこをしたり、愛情ある言葉かけをしたり、目を見つめ合ったりして、お子さんにあなたの愛情を伝えてください。それが生まれてきたお子さんの安心感の育ちを支えます。

 上のお子さんへの対応も同様です。いまのように、帰宅されたあとにパパと過ごす時間はきっと楽しい時間ですし、週末にいましかできない「パパと二人だけのおでかけ」もお子さんにとっては嬉しい体験です。そして、ちょっとした時間をみつけて、安心できるように抱っこをしたり声を掛けたり、お子さんのおしゃべりを聞いていく。4歳は「なんで?」「どうして?」とたくさん質問したい時期です。祖母宅にいることを考えると、お子さんなりにいろいろなことを考えてたくさんの思いをもっていると思います。

 最後にあなたご自身です。妻や上のお子さんのこと、生まれてくるお子さんのこと、義母のこと、考えただけでも大変なことは推察できます。あなたが全部を抱えてその負担から倒れてしまったら元も子もありません。ご自身の健康状態にいつも配慮しながら、いまの生活を楽しんでください。どんなことにもマイナスとプラスの両面があります。幸せでいられるにはプラスの面を見ていく思考過程を自分につくることでもあります。

 そして、どんな状態にある妻であっても、あなた達は夫婦です。あなたの気持ちも含めてお互いの気持ちを尊重しながら、現実にできるbetterなことを見つけてください。一つひとつがあなた方家族の歴史をつくっていきます。