赤ちゃん & 子育てインフォ

ホーム妊娠・子育て相談室インターネット相談室Q&Aバックナンバー出産について

出産について

Q. 2人を帝王切開で出産。3人目を希望したところ、子宮破裂の可能性を指摘されました。 (2020.1)

  • (妊娠週数・月齢)産後

一人目は逆子だったために帝王切開をし、二人目は予定帝王切開でした。二人目の産後の健診で、子宮はきれいに戻っていると言われました。その後、軽度異形成の子宮頸がんの組織が見つかったときも、子宮の帝王切開の傷口に対して、特に医師からのコメントはありませんでした。その3か月後に妊活しようと新しい病院に行くと、帝王切開の傷口が3mmになっているため子宮破裂の可能性があるとのことで「妊娠したら総合病院にかかるように」と言われました。その先生には「妊娠はおすすめしない」とも言われています。数か月経って、帝王切開の傷口が薄くなるということはあるのでしょうか?妊娠したら、破裂する確率はどれくらい高いのでしょうか?3人目が欲しいので悩んでいます。

回答者: 安達知子先生

 妊娠、分娩時の子宮破裂はまれなもので、そのリスク因子として、分娩に長時間を要す難産、頻産婦、分娩時の子宮底圧出による児の娩出などが挙げられますが、子宮の手術既往があるとその頻度は高くなります。妊娠中も破裂が起きる可能性はありますが、圧倒的に陣痛開始後、分娩のさ中に起こることが多いです。特に帝王切開の既往があると、子宮破裂は0.3~3.8%の頻度におこると言われています。二回の帝王切開の既往があれば、さらに頻度は高くなります。

 切開した部分の縫合の仕方や状態などによっても左右されますが、瘢痕部の厚さが妊娠前に3mmしかない部分があると、リスクは高いと考えます。帝王切開は通常子宮の下部を横に切開しますが、切開した部分全体が薄いことは少なく、部分的に薄いところがあるということのため、診ている医師が異なると、評価も変わります。また、産後健診で「子宮はきれいに戻っている」というのは、子宮の大きさが正常に戻っており、子宮内に悪露の貯留などがなく、切開創に血腫などがなければ、そのように表現することになります。

 子宮破裂が起きると、大出血やショックの程度にもよりますが、母体死亡は1〜2%、胎児死亡は80%、生存した児に後遺症が出る可能性はきわめて高いといわれています。3mmの薄さで、あまり次回の妊娠を勧めるものではありませんが、万一妊娠されたならば、周産期センターのような大きな病院で、妊娠経過と子宮壁の厚さを定期的にモニターし、子宮収縮が起こらないような十分なケアを行い、場合によっては長期入院をしていただき、創部の状態などを見て、陣痛開始前に帝王切開で児を娩出することになります。それでも完全に破裂を回避することは難しいといえます。また、かなりの早産になる場合もあり、児のNICUへの長期入院や後遺症を含め、母体のリスクなども理解していただく必要があります。