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病気・予防接種

Q. 胎児に口唇口蓋裂の可能性が。どんな病気なのでしょうか? (2020.2)

  • (妊娠週数・月齢)妊娠9か月 (32〜35週)

現在妊娠32週です。妊娠24週頃、胎児に口唇口蓋裂(編集部注:口唇口蓋裂とは、唇顎口蓋裂のうち、顎裂がない状態をいいます)の疑いがあると言われ、個人病院から総合病院に転院しました。脳や心臓は超音波診断では問題ないようで、手術すれば必ず治りますと担当医に言われています。超音波検査でいつも顔をかくしているので、症状の程度はわかっていません。手術をするとしていつぐらいなのか、どんな症状でどんな困りごとがあるのか、発育や発達上の問題など、出産前に知っておいた方がいいことはどんなことでしょうか?

回答者: 板橋家頭夫先生

 唇顎口蓋裂とは、先天的に上口唇や歯槽堤(はぐき)、口蓋(口腔内の天井部分)に割れ目ができている状態をいいます。妊娠7~10週ごろに口唇やはぐき、口蓋の元となる左右の部分が中央でくっつくのですが、これがうまくいかないためにおこります。ほとんどが原因不明です。

 出生500人に一人と高い頻度で発生し、東洋人に発生率が高いことが知られています。唇顎口蓋裂の程度や合併する異常の有無に応じて出現する症状が変わります。唇顎口蓋裂にともなう問題に限定すると、出生後早期は哺乳、その後は中耳炎や発音、歯列の異常などに注意が必要です。その他の先天異常の合併がなければ発達の遅滞はみられないと思います。

 顎裂や口蓋裂を伴う場合に円滑な授乳が困難となることがあります。そのような場合には、特殊な乳首や口蓋裂の部分を覆うプレートが用いられますが、まずは出生直後より形成外科医や口腔外科医、小児科医などとよく相談することです。

 一般的には唇顎裂の手術は生後2~3か月ごろで、口蓋裂の手術は生後6か月以後になることが多いと考えられますが、手術の時期は唇顎裂が片側なのか、両側なのか、口蓋裂の程度などによっても、またプレート使用の有無、さらに施設によっても異なりますので、一概に言えません。この点も医師にあらかじめ相談することをお勧めします。合併症の有無や成長・発達を評価するには小児科医の診察が欠かせませんので、術前・術後ともに小児科医の定期的な診察が必要です。