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妊娠中の気がかり(生活)

Q. 妻が妊娠中です。夫として父親として、やるべきことを教えてください。 (2020.4)

妻が40歳で初めて妊娠をしました。私は37歳ですが、初体験のため、つわりがひどい妻への接し方や、これから生まれる赤ちゃんに対する父親としての心がまえ、どうしていけば母子へベストなケアができるのかがわかりません。いま、私がやるべきこと、今後出産までにやるべきことなどを教えてください。

回答者: 市川香織先生

 奥様のご妊娠おめでとうございます。家族が増える喜びは何物にも代えがたいですね。

 一方で、妊娠中の女性の心身の変化やこれからの準備など、未知のことに戸惑いも感じておられるのですね。妊娠・出産は、男性が直接経験できることではないからと距離を置いてしまいがちな人もいる中で、奥様に寄り添おうとされている姿勢、とても嬉しく感じます。きっと、奥様も心強く感じてらっしゃることでしょう。

 女性にとって母親になるという過程は容易ではありません。出産したからといって誰もがすぐに母親らしい振る舞いができるわけではないですし、抱っこや授乳、おむつ替えといった育児そのものも、最初から上手にできるわけではありません。もちろんこれは、父親になる男性にとっても言えることですね。ですから、二人で一緒に親になる過程をたどる、一緒に悩んで一緒に解決策を考えていく、そのパートナーシップがまずは大事です。

 いま、奥様はつわりがひどいということですので、物理的なサポートとして、家事を全般的に引き受けて負担を減らしてあげることは大切なことでしょう。つわりのときは、嗅覚や味覚が敏感になったり、食べられるものが限られたりします。この時期の赤ちゃんはまだ多くの栄養を必要としませんので、それよりも母体の脱水などに気をつけて、食べられるときに少量ずつ食べやすいものを食べたり飲んだりできれば大丈夫です。パートナーとしては、早めに帰宅してそばにいることが、女性にとっての安心感につながります。

 また、つわりが落ち着いてきたら、出産や子どもが生まれてからの生活について、二人で十分話し合って準備していきましょう。両親学級などカップルで参加できる育児準備クラスには、ぜひ参加しましょう。妊婦健診も同行できれば、おなかの中の赤ちゃんの成長を一緒に確認することができるでしょう。高齢初産ですので、妊娠経過や出産方法など医師や助産師に確認しておきたいことも、夫婦で一緒に聞くことができれば安心です。妊娠や出産に関する情報はネット上にも溢れていますが、もし迷ったら、母子健康手帳の後半部分の情報欄や母子健康手帳と一緒に渡されている資料などを、奥様と一緒に目を通してみましょう。有益な情報源となるでしょう。

 また、出産後、女性の身体はすぐに元に戻るわけではありません。出産自体も大仕事、出血も少なからずするので消耗しきっています。ですから出産後、少なくとも1か月は誰かが母親と子どものお世話をする体制を整える必要があります。父親自身が育児休暇を取るのか、実家の両親やきょうだいなどにお世話を頼めるのか、家族で調整できなければ産後ケアなど外部に依頼するのか、これらは出産してからではなく、妊娠中に話し合い、計画的に動いておく必要があります。産後ケア事業は自治体によってサービス内容が違いますので、事前に調べて登録をしておくなど、準備できることは早めにやっておきましょう。産後1か月を過ぎて、母体が元に戻っても、首のすわらない子どもを連れての外出はままならず、家庭で母子が二人っきりになります。産後2〜3か月のころは、母親にとって社会との断絶感が強まり、より孤独を感じる時期、産後うつになりやすい時期といわれています。できるだけ父親に休暇を取ってほしい時期ではあるのですが、少なくとも3か月くらいまでは定時で帰宅し、一緒に育児をすることが、父親の役割ともいえるでしょう。そうできるように、妊娠中の今から、仕事の効率や調整を図っておいていただくとよいでしょう。

 夫婦二人で仲よく、子どもを迎える喜びを分かち合っていくことが、何よりも大切なことです。子どもが生まれて忙しくなるとなかなかゆっくり話をする時間も無くなってしまいますから、お互い思っていることを口に出して共有しましょう。二人でいられる妊娠中だからこその夫婦の時間をぜひ大切になさってくださいね。