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産後のからだ

Q. 乳腺炎になり食事制限中。産後2か月ですが体重が減り続けているのが心配です。 (2020.7)

  • (妊娠週数・月齢)2か月

生後2か月の男児を子育て中です。妊娠で10kg増加していた体重も、産後1か月で妊娠前に戻ったのですが、その後1か月でさらに体重は減り続け、7kgも減ってしまいました。乳腺炎を繰り返しており、定期的なマッサージを受け、漢方薬を服用していますが、悪化しており切開手術の話も出ています。食事に気をつけ、鶏ささみ以外の肉、甘い物、パン、乳製品、揚げ物などはとらないといったこともしています。乳腺炎になるのが怖くて、食事をすることが怖くなってしまいました。こういった産後の体重減少は、よくあることでしょうか? 乳腺炎でもカロリーがとれる食材があれば、教えていただきたいです。

回答者: 市川香織先生

 乳腺炎のため食事制限をしておられ、産後2か月で急激に体重が減っているのでご心配なのですね。

 まず、体重の件ですが、産後1か月で妊娠して増加した10kgが減り、次の1か月で7kg減り、産後2か月までにトータルで17kg減ったということですね。正期産で出産した場合、出産直後に4~5kg減り、そこから数か月かけて非妊時の体重に戻っていきます。産後は授乳や育児で体力を使いますので、余力を残しながら、3~6か月までに少しずつ体重が減っていくのが通常の経過です。産後、一気に体重が減ってしまうと、疲れやすくなったり、貧血になったりして体調を崩しやすくなってしまいますので心配です。乳腺炎になるのが怖くて食事自体も怖くなっておられるため、現在必要な栄養が吸収できていないのが原因だとは思います。

 しかし、この急激な体重減少はそれ以上にやや気になります。産後に急激に体重が落ちてしまう場合、甲状腺の病気など、内科的な疾患が原因になっていることもあります。乳腺炎で医療機関を受診した際でもいいので、一度医師に相談してみることをお勧めいたします。

 また、乳腺炎の対処としての食事制限ですが、過剰な食事制限は全身の回復を遅らせることになるので、あまりお勧めできません。しかし、心情的に、こってりしたものは乳腺炎の原因となりそうなので敬遠していることや、そもそも食べること自体が怖くなってしまう気持ちもわかります。

 産後は睡眠不足や体力の低下から、胃腸機能も万全ではありません。消化のよいものを小分けにして食事回数を増やすことも、炎症を予防しつつ体力を回復させることにつながります。水分補給も、冷たい飲み物ではなく温かい飲み物やスープ類にすると、胃腸の負担は少ないでしょう。何かを禁止するというメニューではなく、身体が必要な栄養をよく噛んでゆっくり食べるということが大切です。食事というのは摂取する食品だけではなく、それを栄養として吸収し、活用できる体の仕組みが活性化してこそ生きてきますので、身体、とくに消化吸収する胃腸を整えてあげるつもりで、消化の良いものを少しずつ食べるようにしてみましょう。睡眠不足が続いているようであれば、家族などの協力を得て、しっかり睡眠をとって身体を回復させる時間を取りましょう。胃腸は十分な睡眠とその間の空腹によって修復されます。

 また、ストレスなど精神的な負荷が大きいと炎症などが起こりやすくなるとも言われています。乳腺炎になるかもしれないという不安を常に抱えながら過ごすのは、とても大きなストレスになっていることでしょう。授乳以外の家事・育児をできる限りパートナーや家族にお願いして、いまは自分の体を回復させられると良いのですが、いかがでしょうか。家事支援など外部のサポートを依頼するのも一つの選択肢です。

 季節の変わり目は、乳腺炎になりやすいため、すぐには回復しないかもしれませんが、少しでも状況改善につながり、前向きに授乳していっていただけたらと願うばかりです。