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気になる子どものようす

Q. 3歳と3か月の姉妹。最近、上の子が手洗いを頻繁にするようになりました。 (2020.11)

  • (妊娠週数・月齢)3か月
  • (妊娠週数・月齢)3歳

3歳になる長女と、3か月の次女の母です。上の子の赤ちゃん返りを心配していましたが、生まれてからしばらくは、次女をかわいがってくれたので安心していました。実母が日中手伝いに来てくれて、散歩など外に連れ出してくれてもいました。ところが下の子が3か月になろうとしたころから、突然癇癪を起こすように。次女の授乳や抱っこをいやがり、つねったり叩いたり、寝ているところを大声で起こすなどするため、私も精神的にまいり、イライラして怒ってしまうこともありました。すると長女は「汚れたから」「おむつ触ったから」「よだれがついたから」など、手洗いを頻繁にするようになってしまいました。特に寝かしつけのときには3分ごとに、20回以上手洗いに行くようになってしまいました。最初は「手洗ってくる」と言っていましたが、いまでは黙って隠れるようにして洗いに行っています。ストレスや不安の現れかと見守っていますが、手洗いに行くたびに申し訳なくて胸が苦しくなります。どう対応してあげたらいいのでしょうか。

回答者: 帆足暁子先生

 手洗いをするお子さんを見守るのは苦しいことですね。
 そして、その苦しさは、あなたが上のお子さんを怒ってしまったから、と思われている。

 なぜ、あなたはお子さんを怒ったのでしょうか。下のお子さんへのかかわり方がいやだったからではないでしょうか。
 では、なぜ、下のお子さんにいやなかかわり方をするようになったのでしょうか。それまではかわいがってくれていたのに?
 子どもも大人もすることには必ず理由があります。それがわかると、対応の仕方が見えてきます。理由もなく人にいやなことをする人はいません。いやなことをしても結局は自分をいやになるだけですから。

 理由を考えるときのコツは、まずは影響する外側の生活環境と心の内面に分けて考えてみます。下のお子さんが3か月になろうとしたころからですね。そのころ、お子さんの生活環境の中で何か気にかかることがありましたか?お子さんが不安になるような出来事があれば、それを安心に変えることで、お子さんには下のお子さんにいやなことをする理由がなくなります。

 そのような出来事が思い当たらなければ、心の内面から考えます。3か月という時期は、社会性の発達が顕著になるころで、笑いかけると赤ちゃんが声を出して笑い返してくれたりします。微笑返し、と言われます。気持ちのやり取りもできるようになって面白くなり、かわいくなってくるころでもあります。もしかすると、お子さんはそれまでは同じ「子ども」という意識がなかったのに、突然赤ちゃんが自分と同じ「子ども」だと気づき、ママとの間にはばかる邪魔者と理解したのかもしれません。実は、下に赤ちゃんが生まれたときの課題として、赤ちゃん返りがよく言われますが、下の子どもへのいじめもよく起きることなのです。ベビーベッドに寝ている赤ちゃんに向かって放尿した子どももいます。

 もともとは大好きなママが取られるという不安から起きてくることです。さらに(自分の行動が原因なのですが)怒られてしまい、ママに嫌われてしまったという思いが重なり、不安が恐怖にまでなってしまい、どうしたらよいかがわからなくなって、一つのパニックとして、手洗いが出てきたように思います。

 もし、その可能性があれば、「赤ちゃんは赤ちゃん」、「あなたはあなた」という別々の子どもとして、「ママの大好きな子ども」のポジションに戻って安心できれば、次第に手洗いはしなくなります。

 安心できるための対応です。
 お子さんが夢中になれる好きな遊びを一緒にたくさんして楽しみます。笑い転げておなかが痛くなるくらいのくすぐりっこも効果があります。「あなたが大好き!」「ママの大好きな〇〇ちゃんと遊ぶのが楽しい」と言葉でかわいがることもよいです。究極は、寝かしつけのときに手洗いを20回以上してもしなくても、ありのままのあなたが好き、という思いをわかってもらうこと。赤ちゃんにいやなことをしてもあなたが好き、とわかってもらうこと。赤ちゃんにいやなことをしないではいられないくらいにママのことが好きなんですから、こんな愛らしい子どもはいません。
 なかなかそうは思えないかもしれません。動物である人間は、種族保存の法則がありますから、小さいものを守ろうとする傾向を持っているからです。

 最後に。
 一番大切なことはお子さんの大好きなあなたが幸せで心から笑えること。あなたにはそのとき怒る理由がありました。あなたが「申し訳なくて胸が苦しくなる」必要はありません。今度は上のお子さんの理由に応えてあげればよいのです。こうして、お子さんに何とかよい対応をしたいと思っているあなたですから大丈夫。自分を信じて。