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妊娠中の気がかり(体重・食事・病気・体調など)

Q. 妊活中ですが、子宮腺筋症かもしれないと言われました。 (2021.8)

妊活をしている30歳です。本日、子宮頸がん検診で腹部エコーをしてもらいました。その際「子宮の壁に左右差がある。子宮腺筋症かもしれない」と言われました。まだ血液検査の結果は出ていませんが、血液検査の結果で診断がつくものなのでしょうか? 子宮腺筋症とはどのような病気ですか? また、子宮腺筋症の人が妊娠した場合、安定期に入るまでの過ごし方、安定期に入ってからの過ごし方はどのようにすべきなのでしょうか? 私自身、妊娠しても産休まではバリバリ働くつもりでおりましたが、それは難しいのでしょうか?

回答者: 安達知子先生

 子宮腺筋症とは、子宮内膜とよく似た組織(子宮内膜類似組織)が子宮筋層の中で増殖する良性の疾患です。子宮内膜症は、子宮以外の場所(卵巣や腹膜など)で増殖する疾患ですが、子宮腺筋症は子宮の筋層内で増殖する疾患です。通常、子宮は腫大して、過多月経のため貧血になりやすく、また、月経困難症が出現しやすい疾患です。

 子宮の上2/3の内側を覆う子宮内膜という粘膜は、女性ホルモンの影響で増殖して厚くなり栄養を蓄えて、受精卵が着床するのに備えますが、妊娠が成立しなければ、定期的に剥がれて月経として体外に排出されます。一方、子宮内膜症や子宮腺筋症では、女性ホルモンの影響で厚く増殖した子宮内膜類似組織は、月経の時期になって剥がれても、流れ出るルートがないために、その場で血豆のような病変を作っていきます。同じ子宮筋層にできる腫瘍、子宮筋腫とは異なり、正常の筋層と子宮腺筋症の部分の区別がつきにくく入り混じっており、エコー検査では、子宮壁の幅の厚さ、厚さの左右差や前後差などを見て疑いますが、血液中のCA125と呼ばれる腫瘍マーカーが高くなることが多いため、血液検査の値も参考にします。子宮腺筋症は子宮内膜症を合併していることも多く、その場合は不妊症になりやすいですが、子宮腺筋症単独では大きな不妊の原因とはならないとされます。ただし、貧血がひどい状態では、妊娠中は注意が必要です。

 子宮腺筋症を合併すると、その程度や場所によって異なりますが、胎盤の付着部位の異常(前置胎盤など)や赤ちゃんの胎位の異常(骨盤位、横位、斜位)などから帝王切開になる確率は高くなり、出血も通常より多くなります。妊娠中の過ごし方は、基本的に通常どおりで問題はなく、産休まで勤務されてよいと思います。