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病気・予防接種

Q. 6か月の娘。先天性毛細血管拡張症性大理石様皮斑と診断されました。 (2021.12)

  • (妊娠週数・月齢)6か月

生後6か月の娘の腕、肘部分に局所的なあざがあり、軽度の先天性毛細血管拡張症性大理石様皮斑と診断されました。大学病院の形成外科で診ていただいているのですが、自然に消える可能性が高いということで半年後の再受診、経過観察となりました。しかし、ネットで調べるとさまざまな合併症、時に発達障害を併発する可能性が5割以上と書かれていて、いまの時点で他の科にかからなくてよいものか心配になりました。合併症の割合は高いのでしょうか? ネットを信じればよいのか、医師を信じればよいのかわからなくなってしまいました。

回答者: 板橋家頭夫先生

 先天性毛細血管拡張症性大理石様皮斑は比較的まれな疾患で、これまで明らかな原因も特定されていませんでしたが、最近、遺伝子の異常が報告されています。

 多くの場合、本疾患は、全身または限局した網状の皮膚血管網として出生後早期に発見されます。軽度の皮膚の症状だけであれば、思春期以後に消失する可能性が高いようです。この疾患に併発する多くの異常が報告されています。具体的には、四肢の左右差やさまざまな指趾の異常、緑内障をはじめとする眼の異常、心疾患、泌尿器系の異常、消化管の異常、甲状腺機能低下症、銅の代謝異常などです。ご心配されている中枢神経系の異常も報告されています。これには、発達の遅れやてんかん、脳の構造異常などが含まれます。

 これまでの論文を集計した最近の報告(2019年)によれば、先天性毛細血管拡張症性大理石様皮斑患者486名のうち、中枢神経系の異常が“あった”のは49名で、“なかった”のが57名でした。残り380名については論文中で何も記載がなく“不明”という結果でした。中枢神経系の異常は、分母に“なかった”57名を加えて計算すると46.2%と半数近いという結果になりますが、さらに分母に不明の380名を加えると10.1%と大きく発生頻度が低下します。このようにどのような対象を用いて計算するかによって中枢神経系の異常の発生頻度が変わります。また、少ない症例数の検討で計算された発生率の値は信頼性が低いことも知っておいてください。

 したがって、ネットで記載されている内容については十分な吟味が必要です。本症はさまざまな異常を合併することが知られていますので、合併症の発生頻度の精度を別にしても、やはり小児科医にも相談したほうがよいと思います。幸い、大学病院で受診中とのことですので、形成外科から小児科への紹介も容易ではないでしょうか。