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病気・予防接種

Q. 3か月の子。全身CTと消化管造影のほか、毎週レントゲン撮影をしています。 (2022.3)

  • (妊娠週数・月齢)3か月

3か月のわが子は、胎便吸引症候群のためNICUに入院しており、いままでに全身CTと消化管造影を1回ずつ行いました。また、毎週のように肺のレントゲンを撮影しています。必要性があってのことだと重々承知なのですが、将来、がんにならないかとすごく心配です。CT1回、消化管造影1回、さらに毎週の肺のレントゲン撮影による被ばくは、どれくらいのリスクがありますでしょうか?

回答者: 板橋家頭夫先生

 放射線が人体に及ぼす影響を含めた線量をシーベルト(SV)といいます。mSVは1/1000の単位です。成人のX線を使った検査の被ばく量は、おおよそ胸部X線撮影では0.06~0.15mSV/回、全身CT撮影では4.0mSV/回、消化管造影では8.0mSV/回程度です。子どもの場合は成人に比べて表面積が小さいのでこれより少なくなります。ちなみに宇宙からの被ばく量は年間0.3mSVで、飛行機による東京-ニューヨークの往復では0.11~0.16mSVほどです。胸部X線撮影では1回あたりの被ばく量は宇宙からの年間被ばく量に比べれば明らかに少ない量です。しかしながら、撮影回数が増えればそれに応じて被ばく量も増えることになります。被ばく量が100mSVを超えると被ばく量に応じてがんで死亡するリスクが高くなっていきますが、それ以下の場合は考慮せずともよいと考えられています。

 小児は放射線に対する感受性が成人に比べて高いことはよく知られていますが、この点を考慮してもお子さんの場合は心配する必要はないといえます。そうはいっても医療者は感受性の高い甲状腺や性腺などは可能な限りプロテクターで無用な被ばくを避けるように工夫しています。放射線を使う検査の判断は、検査を行うことのメリットと被ばくや検査実施のために必要な処置による児への負担とのバランスで決定されるものです。不安があれば主治医に納得できるよう説明をしてもらってはいかがでしょうか。