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妊娠中の気がかり(体重・食事・病気・体調など)

Q. 第2子妊娠中ですが、サイトメガロ抗体がありません。 (2022.5)

  • (妊娠週数・月齢)妊娠6か月 (20〜23週)

20週の妊婦です。12週ころの初期健診の採血でサイトメガロ抗体がないことがわかり、感染に注意してくださいと言われました。気をつけてはいますが、保育園に通う子どもが1人おり、その子がよくかぜをもらってくるので、私も毎回うつります。そのため、サイトメガロウイルスにすでに感染している、もしくは今後感染するのではないかと心配でたまりません。産婦人科では「何度も検査する必要はない」と言われ、後期に再度採血予定です。初期の血液検査の数値は、IgG濃度1.6 IgG抗体6.0 Index0.50 でした。やはりサイトメガロ抗体はないでしょうか。感染しないよう気をつける以外できることはないのでしょうか。もし妊娠中に感染すると、どうなるのでしょうか?

回答者: 安達知子先生

 胎児へのサイトメガロウイルス感染は感染した母体から胎盤を経由して胎児にウイルスが移行して発症します。胎児が感染すると、妊娠中は胎児発育不全、脳室拡大や小頭症、腹水や肝脾腫などが認められ、出生後は発達障害や先天性難聴などの先天性サイトメガロウイルス感染症のリスクが高くなります。

 一般人口で70%はすでに妊娠前に感染していてあまり問題にはなりませんが、妊娠中に初感染すると30~50%に胎児感染を生じます。しかし、妊娠中に再感染しても1.4%程度は胎児感染するといわれています。

 大切なことは、陰性妊婦にはサイトメガロウイルスを含んでいる可能性のある小児の唾液や尿との接触をなるべく避けてもらうことで、保育園や幼稚園などに通っている上の子どもがいる場合は特に注意が必要です。具体的には、①頻繁に石けんと水で15~20秒は手洗いをする:おむつ交換、子どもへの給仕、子どもの鼻やよだれを拭く、子どものおもちゃを触るときなど、②子どもと食べ物、飲み物、食器を共有しない、③おしゃぶりを口にしない、④歯ブラシを共有しない、⑤子どもとキスをするときは唾液接触を避ける、⑥玩具、カウンターや唾液・尿と触れそうな場所を清潔に保つ、などです。初期に抗体価が陰性ならば、後期に再度検査をします。

 現状では胎児への有効な治療法は確立されていません。先天感染の診断は生後3週間以内の新生児の尿の核酸検査で行います。出生後の先天感染児の治療は抗ウイルス薬の投与などを行うことになりますが、本感染症への保険適用はなく、副作用などもあるため、発達・聴覚のフォローアップも含めて専門医に依頼することになります。