赤ちゃん & 子育てインフォ

ホーム妊娠・子育て相談室インターネット相談室Q&Aバックナンバーアレルギー

アレルギー

Q. 生後9か月。フレンチトーストで湿疹が出ました。 (2023.4)

  • (妊娠週数・月齢)9か月

9か月の息子にフレンチトーストを食べさせたら、口の周りに湿疹が出ました。これまで固ゆで卵、パンがゆ、牛乳を使った離乳食などを食べさせましたがアレルギー症状はなく、医師からは卵の加熱不足を指摘されました。幸い軽症だったため、完全除去は行わずに、「卵ボーロなどの加工品を少しずつ食べさせるなどして、焦らずゆっくり慣れさせていくように」と言われました。しかし、具体的にどれくらいの頻度でどのように進めていけばよいか分からず、教えていただければと思います。また、加熱不足だとどうしてアレルギー症状が出るのでしょうか。

回答者: 横田俊一郎先生

 まず、加熱するとアレルギー症状が減る理由について説明します。食物アレルギーは、食物中に含まれるアレルゲン(主にタンパク質)に反応して起こります。このアレルゲンにはいろいろな種類があり、一部は加熱するとタンパク質の構造が変化し、アレルゲンとしての働きが落ちるためにアレルギー症状が減ると考えられています。

 たとえば、鶏卵のアレルゲンの多くは、卵白に含まれる「オボアルブミン」と「オボムコイド」というタンパク質です。このうちオボアルブミンは、加熱するとタンパク質の構造が変化してアレルゲン性が低下します。その結果、鶏卵アレルギーでも主にオボアルブミンのアレルギーの場合、加熱をすれば鶏卵が食べられるということがあります。一方、オボムコイドは熱や消化酵素に対して安定なので、加熱してもアレルゲンとしての性格が失われにくくなっています。従って、オボムコイドのアレルギーの場合には加熱をしてもアレルギー症状が出る可能性が高くなるというわけです。

 牛乳では、牛乳に含まれるカゼインというタンパク質がアレルゲンとなることが多いのですが、カゼインは加熱しても安定しているのでアレルギー症状を減らすことはできません。しかし、小麦と一緒にして加熱するとアレルゲン性が減って食べられるようになることがある、など調理方法によってアレルゲン性は変化しますので、簡単には判断できないことが難しいところです。

 さて、ご相談のお子さんですが、いままでに固ゆで卵、パンがゆ、牛乳を使った離乳食が大丈夫だったということで、小麦や牛乳は大丈夫。それではオボアルブミンが原因ではないかということだと思われます。

 しかし、その前に口の周りに出た湿疹がほんとうにアレルギー症状なのかどうかということを、まず考える必要があるでしょう。同じような心配はこの相談室にも寄せられていて、以前(2020.4)にも回答したように、口の周りに出た湿疹は単なるかぶれの可能性もあります。食べ物が口の周りにつかないように気をつけて与える、あるいは保湿剤などを口の周りに塗ってから食べさせるなどの対策を講じてみるのがよいかもしれません。

 担当の医師から言われたように、いままで食べて大丈夫だったものはそのまま与えるのがよいと思います。それでアレルギー症状が起こらないということが確認できれば、フレンチトーストを口の周りに付かないようにして、もう一度少量与えてみます。症状が出ないようならその後は加熱に注意して量を増やしてみてください。さらに、低加熱食品である茶碗蒸しや卵スープなどが食べられれば、アレルギーの可能性は低いと考えてよいでしょう。もし、繰り返し症状が出るときには、もう一度受診してアレルゲン検査や食物負荷試験を行う必要があるかもしれません。