妊娠中の気がかり(体重・食事・病気・体調など)
Q. 妊娠31週。サイトメガロウイルスの再感染について教えてください。 (2024.5)
- (妊娠週数・月齢)妊娠8か月 (28〜31週)
4年前に妊娠したときは、サイトメガロウイルスの抗体検査で、IgG170、IgM0.85でした。今回は妊娠31週で抗体検査をしたところ、IgG199、IgM1.47で、再感染または再活性化が疑われるとのことでした。妊娠中期と後期には胎児スクリーニングも受けており、脳、体などには異常がないと言われました。このような場合、赤ちゃんへの感染リスクはどの程度でしょうか? いろいろ調べても、再感染や再活性化の妊婦の情報がないのですが、初感染だけでなく再感染も注意が必要だと聞いており、知的障害や難聴があるのではと不安です。
回答者: 安達知子先生
サイトメガロウイルス感染については、母子感染や感染した子どもへの後遺症の発生などに対して、母親の血液検査からは確実なことが判断できないために、妊娠時に一般的に行われる血液検査からは除外されています。
サイトメガロウイルス感染のリスクは、主に初感染の際に問題となります。初感染した場合に40%が胎内感染しますが、そのうちの85~90%は無症候性とされ、さらにそのうちの85~95%は正常発達です。また、感染した場合に10~15%は軽度から重度の症候を示しますが、そのうちの10%は正常発達となります。
今回のご質問は明らかに再感染、ないしは再活性化、あるいは持続性にIgMが陽性であるもので、初感染ではありません。再感染の場合の後遺症は0~1%、再活性化や持続性にIgM陽性の場合にはほとんど問題となりません。
一般的な児の先天異常は、心奇形が1%、そのほかの小さい異常を合わせて2%程度の発生頻度とされ、妊娠中にエコー検査などを行っても確実には診断できないこともあります。これと比較してもサイトメガロウイルスの再感染による児の異常の頻度は極めて低いものとなります。
サイトメガロウイルス胎内感染では、妊娠中に胎児発育不全、脳室拡大、羊水過多・過少、胎児水腫、脳内石灰化等が報告されていますので、これらについてのエコー検査は注意深くされていると思います。また、感染した新生児はけいれんや筋緊張の低下、哺乳力の低下、難聴などの神経学的異常所見が半数以上に見られるとされていますが、これらの懸念はほとんどないものと考えます。