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妊娠中の気がかり(体重・食事・病気・体調など)

Q. 妊娠9週。茶色のおりものは流産のサインですか? (2025.2)

  • (妊娠週数・月齢)妊娠3か月 (8〜11週)

妊娠9週ですが、7週のころに一度茶色のおりものが出て以来、たまに茶色のおりものが出ます。多くても10円玉ほどで、毎日ではありません。胎児の心拍は確認できています。内診時に、医師から安静にしているように指示されましたが心配です。茶色のおりものは、流産のサインでしょうか? 2人の子を出産していますが、2度の初期流産を経験しています。続けて2回ではありません。1度目は心拍が確認できず、2度目は心拍確認後に心拍が停止しました。

回答者: 安達知子先生

 胎児が子宮内で健康に発育、成熟するには、母体からの酸素や栄養が胎盤を介して適切に供給されることが必要です。自然妊娠は卵管内で精子と卵子が受精して受精卵(胚)となり、子宮内に移動して受精後7日くらいで子宮内膜に潜り込み(着床)、成立します。
 この着床時には、胚として胎児となる細胞の部分と、羊膜や子宮内膜と接する絨毛膜、絨毛(将来の胎盤)などの部分となる細胞の塊が作られています。胎盤の形成は胚の着床時からスタートして、完成するのは妊娠16~20週の間といわれています。絨毛は子宮内膜の中に侵入し、増殖・発育して、母体の子宮内膜(妊娠時の大量の黄体ホルモンの影響を受けた内膜で脱落膜という)とともに胎盤を形成します。
 妊娠中の出血はこの胎盤形成期に起こることが多く、圧倒的に妊娠初期です。妊娠中の出血には、主に妊娠継続には関係のない出血(子宮内部からの出血ではない)と、関係する出血があります。前者は子宮頸管ポリープや頸部のびらんなどからの出血で、少量ないしは褐色のおりもののようなことが多いです。頻度は低いですが、双角子宮や重複子宮などで、着床部位から遠い部分の子宮あるいは、妊娠していないほうの子宮から脱落膜が剥がれてかなり出血することもあります。
 妊娠継続に関連する出血は、子宮の壁と密着する胎盤や卵膜などが少し破綻や剥離した際にみられ、程度により褐色のおりものであったり、出血であったりします。胎盤や卵膜が子宮の壁から大きく剥離すれば、流産するリスクが高くなり、これを切迫流産といいますが、多くは下腹部痛を伴います。原因として一番多いのは、染色体異常などによるもともと育たない胚の妊娠で、ほとんど妊娠13週くらいまでに流産が起こります。ほかには子宮内感染、胎盤の形成不全などがあります。流産の頻度は妊娠の15%程度で、女性の年齢が高くなると頻度は高率になります。子宮内からの出血であっても、少量であれば安静などによって止血し、そのまま問題なく妊娠継続できるものも多いです。なおまれに、異所性妊娠(卵管妊娠など)や胞状奇胎などの異常妊娠でも妊娠初期に出血がみられます。
 ご相談の方は、現在妊娠9週です。胎児は元気に育っており、安静にして軽快されると推測されますが、2回の流産歴があってご心配であれば、母体の血液から胎児の染色体異常などを分析するNIPT (非侵襲性出生前遺伝学的検査)などの検査やカウンセリングをお勧めします。