妊娠中の気がかり(体重・食事・病気・体調など)
Q. 妊娠希望ですが子宮筋腫があります。手術のリスクを教えてください。 (2025.4)
- (妊娠週数・月齢)妊娠2か月 (4〜7週)
32歳で、妊娠を希望しています。6.5cmの子宮筋腫が見つかり、クリニックで「子宮筋腫を取ったほうがいい。腹腔鏡手術で取れるから」と言われました。しかし、大きな病院に行くと「基本的には開腹手術をする」と言われました。
開腹手術をするか、それとも手術を後回しにして妊娠を目指すか悩んでいます。開腹手術をするのは帝王切開をするのと変わらない気がして、気が進みません。子宮筋腫がある状態での妊娠のリスクと開腹手術、腹腔鏡手術による妊娠・不妊のリスクを教えてください。開腹手術と腹腔鏡手術では、どちらのほうがリスクが高いのでしょうか。また開腹手術、腹腔鏡手術の後に妊娠した場合、子宮破裂のリスクなどに差はあるのでしょうか。
回答者: 安達知子先生
子宮筋腫は頻度の高い疾患で、40歳前後の女性の3~4人に1人は子宮筋腫を認めます。妊娠中はホルモンの影響で筋腫はかなり増大しますが、とくに問題なく経過される方もいらっしゃいます。
妊娠希望の方で、筋腫を取ったほうがよいと判断するのは、筋腫の大きさもありますが、子宮のどの位置に存在するのか、下腹部痛や月経痛、過多月経、貧血などの症状の有無、卵管への圧迫や着床に支障をきたす可能性(不妊の原因)、子宮下部に存在して妊娠した際に胎児の位置異常、前置胎盤や分娩障害となる可能性(その場合は流産となったとき流産手術も難しくなります)、ほかにも妊娠中の筋腫変性に伴う切迫流早産や下肢の深部静脈血栓症、分娩後の大出血など、種々の可能性を加味して総合的に筋腫核出術を行うか判断します。
筋腫を核出した際は、その欠損部の筋層を正しく寄せて確実に修復することが必要です。これが不確実では、妊娠経過中に胎児発育とともに引き延ばされた筋層が薄くなり、子宮破裂の可能性が高くなります。大きい筋腫が筋層深く入り込み、子宮内腔に近いところまで発育している場合や複数の筋腫がある場合は、一般的には開腹手術のほうがのちの妊娠を考えると確実で安全な手術となります。腹腔鏡手術は術者の判断、経験や技能がその後の妊娠の安全性を大きく左右します。
なお筋腫核出術が開腹手術であっても腹腔鏡手術であっても、その後妊娠された際には、出産は帝王切開となります。以上を参考になさってください。