アレルギー
Q. 生後5か月。かぜで抗菌薬を服用しましたが、喘息などにつながるのでしょうか? (2025.4)
- (妊娠週数・月齢)5か月
生後5か月の娘がいます。先日、私のかぜがうつったようで熱はありませんでしたが、小児科を受診したところ、抗菌薬とシロップ薬を処方されました。そのことを知人に話したところ「その程度で抗菌薬を飲ませていると、喘息やアレルギーになるかもよ」と言われ、不安になりました。抗菌薬は一度服用しただけでも、喘息やアレルギーになるのでしょうか。今後、どのようなことに気をつければよいのでしょうか。
回答者: 田中秀朋先生
生後5か月のお子さんのこととなると、ご心配な気持ちはよくわかります。元気に授乳ができていて、睡眠も穏やかであれば、薬を使わずに自然に回復することもあります。一方で、熱はなくても、呼吸や咳が苦しそうだったり、授乳や睡眠に影響が出たりした場合は、治療が必要です。
かぜの原因の多くはウイルスであり、その場合抗菌は効果がありません。ですが細菌による気管支炎、肺炎、中耳炎などには、抗菌薬の投与が必要です。一般的には、小児科医が「かぜ」の診断で抗菌薬を処方することはあまりないと思われます。今後診察を受ける際には、診断名と処方される薬について、納得がいくまで説明を求めるようにしましょう。
なお国立成育医療研究センターの調査で、2歳未満で抗菌薬を使用した場合、5歳時点で気管支喘息の発症リスクが高くなるという報告があります。ただし、「なぜ関連があるのか」についてはまだ解明されていません。抗菌薬そのものの影響なのか、感染症にかかりやすい体質が影響しているのか、あるいは感染そのものが要因なのか、今後の研究が待たれます。
近年では、抗菌薬が腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)を乱すことで、喘息をはじめとするアレルギー疾患、さらには肥満や糖尿病、精神疾患などのリスクに関係する可能性が指摘されています。ただし、これらもまだ確かな結論には至っていません。
そのため不要な抗菌薬の使用は避けるべきですが、反対に必要な抗菌薬を使わずにいることで病状が悪化するリスクもあります。細菌性髄膜炎や敗血症、肺炎、溶連菌感染症など、命にかかわる病気に対しては、適切な抗菌薬投与が不可欠です。乳児の感染症では、自己判断せず、小児科医の診察と診断を受けることが大切です。
また、腸内環境を整えるためには、ヨーグルトや納豆などの発酵食品を取り入れることや、市販のプロバイオティクス食品を利用することが、健康維持に役立つ可能性があります。離乳食が始まっている時期かと思いますので、かかりつけの小児科医に相談されるとよいでしょう。
さらに、母乳は腸内細菌叢に良い影響を与えるだけでなく、感染症やアレルギー疾患の予防にもつながるとされています。可能であれば断乳を急がず、母乳育児を継続されることをお勧めします。