Part1 発育曲線の見方、考え方
発育曲線に描かれている帯の意味は?
子どもの発育の大まかな目安です
厚生労働省では、10年ごとに乳幼児の身体発育を調査し、身体発育曲線を作成しています。母子健康手帳に示されているのは平成12年に調査した値で、帯のなかに各月齢の94%の子の値が入ります。
少しむずかしい話になりますが、あのグラフに示されているデータは「横断的データ」といって、調査を行う年に、それぞれの月齢の子どもを集めて、その子どもたちの値をパーセンタイルで表し、つないだ曲線です。(パーセンタイルというのは、数値を小さい順にならべて、パーセントでみた数字です。たとえば10パーセンタイルというのは、100人中小さいほうから10番目ということです)。ですから、ひとりの子どもがどのように大きくなるかを見ているわけではなく、ある年の子どもたちの集団のデータから出した値をつないだらあのような曲線になった、ということです。
つまり発育曲線の特徴は、各年齢で、自分の子どもの体重や身長が、全体のなかでどのぐらいのところにいるかという目安が分かるということです。
帯のなかに入らないと問題なのではありません
お母さんお父さんにしてみれば、自分の子どもが発育曲線の帯よりも小さかったりすると、発育に何か問題があるのではないかと不安になってしまうのも分かりますが、発育曲線からはずれていることが、発育の問題を示すものではありません。94%の子どもが帯のなかに含まれるということは、残りの6%の子どもが必ずいるということでもあります。
ですから、帯のなかに入っていることが大切なのではなく、帯のなかの、あるいは外の、どのあたりにいるのかを確認し、その子がその子なりの発育をしているかどうかをみることのほうが大切です。
曲線のカーブにそって発育していますか?
では、「その子なりの発育」とはどのように判断すればよいかですが、発育曲線では、一人の子どもがどのように大きくなっていくかは分かりません。しかし、たくさんの子どものデータの平均をプロットしているので、発育曲線のカーブは、それなりに発育の目安として信頼できるものになっています。
ですから、「何か月」というある1点で、帯のどのあたりにいるかは気にしなくてよいですが、数か月の単位で子どもの発育を記入していったときに、発育曲線のラインよりも大きくはずれて、まったく横ばいのままとか、体重が減ってくるとか、もしくは急激に増えるといった曲線になった場合には、注意深く観察する必要があるかもしれません。
帯からははずれているけれど、発育曲線のカーブにそって、身長も体重も増えているようなら、それがその子なりの発育ということになります。
発育曲線の記入で病気を早期発見できることもあります
発育曲線は、あくまでも目安なので、こだわりすぎることはありませんが、グラフをつけることによって、なにか病気があったときに早く見つけることができるかもしれないので、つけ続けることは大切です。
たとえば、成長ホルモンの不足や甲状腺ホルモンの不足などは、ある時期から身長が伸びなくなることで発見されます。また、乳幼児期には、体重がまったく増えないということは考えにくく、ましてや減るとなったら、なんらかの病気を疑うのが自然です。
発育曲線をつけておくと、何か心配があるときに、それをもって医療機関に相談にいくことで、医師にも明確に状況を伝えることができます。