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歯とお口のケア

Q. 2歳7か月。保育園で「咀しゃくの未発達と吸い食べのくせ」を指摘されました。 (2014.2)

  • (妊娠週数・月齢)2歳

2歳7か月の男の子です。先日、保育園の先生から「咀しゃくが上手にできず、吸い食べのくせがある。よく噛んで食べるよう家庭で注意して見てください」と言われました。確かに、くちゃくちゃと音を立てて食べることが多く、口の中に食べ物を溜めてしまってなかなか飲みこめません。私は、なるべく飲みこみやすいようにと噛みにくいものは小さく刻んでとろみをつけたり、汁物を欠かさないようにしていますが、これで上手に噛めるようになるのか不安を感じています。咀しゃくの発達を促すために、どんな対応をすれば効果があるでしょうか。

回答者: 井上美津子先生

 「咀しゃくが上手にできない」「吸い食べをする」「くちゃくちゃと音を立てて食べる」「口の中に食べ物を溜めてなかなか飲みこめない」というような食べ方の問題は、1〜3歳ぐらいの子どもには見られやすいものです。

 乳歯の奥歯が生え揃わないうちや生え揃ったばかりの頃は、まだ咀しゃくが十分熟達されていません。とくに生野菜や線維のある肉・野菜、弾力性の強い食べ物などは、一度口に入れてもうまく処理しにくいものです。

 このような処理しにくい食べ物をいつまでも噛んでいたり、口の中に溜めて飲みこめない場合は、まだこの時期の子どもには難しい食形態と考えて、少し時期を待つ余裕が必要です。いちばん奥の、噛む面の大きな乳臼歯が咬み合って咀しゃく力が高まると、徐々に処理能力も高まってきて、上手に食べられるものが増えてくるでしょう。しかし、食形態にかかわらず溜めるような食べ方をする子どもには、食べる意欲の面などからも対応が必要と思われます。

 また、吸い食べをしていたり、くちゃくちゃと音を立てて食べている場合には、食べているときの口の動きのチェックも必要です。食べ物を取りこんだあと口唇を閉じて噛んでいるか、また奥歯を使って噛んでいるかなどを見ます。口唇閉鎖が悪いと、食べるときに音がしたり、食べ物を口からこぼしやすくなります。奥歯で噛まずに前歯を使って噛んだり、前歯の裏側に食べ物を入れてしまうと、吸うような食べ方になります。前歯で噛みとったあと、食べ物を奥歯のほうに送って噛むという食べ方を習熟する必要があります。

 このような食べ方が見られる子どもへの対応としては、煮野菜やバナナなど噛みつぶす程度でまとまりやすい食材を使って、少し大きめのものを前歯で噛みとり、奥歯で噛みつぶす練習をするといいでしょう。噛みにくいものを小さく刻んでとろみをつけて与えた場合、飲みこみやすくはなっても、噛む(咀しゃく)練習にはなりません。汁物を一緒に与えることも、十分唾液と混ぜ合わせる前に水分で流しこんでしまう食べ方につながります。

 前歯を使って噛みとり、舌と上顎(口蓋部)で食べ物の大きさや硬さを感知することで、脇のほうに送って奥歯を使って噛むことを練習していきましょう。また、食べ物を取りこんだあとは、口唇を閉じて噛むよう促します。口唇閉鎖を促すような遊び(ストローでコップの中の水を吹いたり、シャボン玉をしたり、色紙をストローで吸い上げたりというような遊び)や前歯でのかじり取りの練習などが効果的です。

 さらに、食べる意欲を育てるためには日常の生活リズムを整えることが重要です。よく眠り、よく遊び、規則正しい食事をとり、しっかり排便することで、体調も整い、食べる意欲も育ちます。同時に、家族でゆっくり食事をして、おいしさを共感することも重要です。周囲の大人がおいしそうに食べているものなら、子どももつられて新しい食材に手を伸ばすことができます。

 眠くなったときなどに吸い食べが見られる場合は、指しゃぶりのような口の癖に近い要素も考えられます。吸い食べの感触を楽しんでいると考えられるので、声かけなどをして気持ちを食事に向けさせるとともに、適度に食事を切り上げる対応も必要でしょう。

 まだ咀しゃくが発達途上の時期ですので、まずは噛みやすいもので歯を使った噛み方を練習していき、徐々に食形態のステップアップを図りましょう。