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病気・予防接種

Q. 先天性サイトメガロウイルス感染症の娘について、生活の注意点を教えてください。 (2014.4)

  • (妊娠週数・月齢)妊娠2か月 (4〜7週)

娘が先天性サイトメガロウイルス感染症です。まだ尿中からウイルスが出ており、経過観察中です。姉が妊娠中なので会うのを控えていますが、出産後も娘の尿中にウイルスが出ている間は会うのを控えたほうがいいのでしょうか? 市内の赤ちゃんのイベントなど、子どもたちがいるようなイベントも参加を控えたほうがいいのでしょうか?

回答者: 横田俊一郎先生

 サイトメガロウイルスは、口唇ヘルペスの原因となる単純ヘルペスウイルスや、水ぼうそうと帯状疱疹の原因となる水痘帯状疱疹ウイルスと同じヘルペスウイルス科のウイルスです。この科のウイルスの特徴は、一度感染すると感染した人に潜伏して感染し続け、時々再活性化するということです。

 最初の感染は母乳、尿や唾液による経路が中心で、産道感染、輸血による感染、性行為による感染などもあります。初めて感染を受けた乳幼児のほとんどは、症状のない「不顕性感染」ですが、その後数年にわたって尿あるいは唾液中にウイルスを排泄することがわかっています。このことから、保育園などで子ども同士の密接な接触によって、あるいはウイルスを含む尿との接触により感染が起こるとされています。つまり、大部分の子どもはわからないうちに2〜3歳までに感染しており、妊婦さんの約90%はすでに免疫をもっているとされてきました。しかし最近は、妊婦さんで抗体をもっている人の割合が低下し、70%程度になっているといわれています。

 先天性サイトメガロウイルス感染症は、妊婦が初めてサイトメガロウイルスに感染したとき、あるいは既に感染して潜伏していたウイルスが再活性化したときに、胎盤に炎症を起こして胎児に感染するとされています。無症状のことも多いのですが、低出生体重・肝障害・脳内の異常などさまざまな症状をもって生まれたり、成長してから難聴がわかったりすることもあります。とくに妊婦が初めてサイトメガロウイルスに感染した際に、症状のある先天性サイトメガロウイルス感染症の子どもが生まれる確率が高くなることが知られています。

 さて、ご質問のケースですが、お姉さまがすでに感染して免疫を持っているのであれば、お姉さまへの感染を心配する必要はありません。免疫がないのであれば、濃厚な接触は避けたほうがよいでしょう。妊娠中に初感染が起こると胎児に問題が生じる可能性が高くなるからです。しかし、ほかにも感染の機会はいくらでもあるので、あまり神経質にならなくてもよいのではないかとも考えます。おむつ替えの際などに、尿や便に直接触らないようにし、手洗いを励行する程度でよいと思います。

 また、他の子どもへの感染の心配ですが、母乳や家族などとの接触、あるいは集団保育の場などでほとんどの子どもがわからないうちに感染しているという事実を考えれば、先天性サイトメガロウイルス感染症の子どもだからといって、特別に生活上の配慮を必要とすることはありません。ただし、ご相談のお子さんは現在受けている医師による定期的な経過観察を、きちんと続けていくことが大事です。