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歯とお口のケア

Q. 4歳の子。歯みがきにフッ素を使っていますが、過剰摂取の害が気がかりです。 (2014.6)

  • (妊娠週数・月齢)4歳

幼稚園に通う4歳の女の子です。幼稚園で昼食後にフッ素洗口液でうがいをしています。最近、フッ素の過剰摂取について耳にし、不安を感じています。自宅では市販の子ども用歯みがきと、歯科医院で購入したフッ化物入りジェルを交互に使って歯みがきをしています。フッ素の適切な使用法をどう考えればいいのか、過剰摂取によって起こりうる弊害とはどういうものか、教えていただきたいと思います。

回答者: 井上美津子先生

 確かに、フッ素(フッ化物)は適切な使用法によって安全で効果的なものになると思います。

 フッ化物には、全身的な応用と局所的な応用があり、全身的な応用としては水道水への添加や食塩・ミルクなどへの添加、錠剤の服用などがあり、局所的な応用としては歯に塗布する方法や洗口(うがい)法、フッ素入りの歯みがき剤・ジェル・スプレーの使用などがあげられます。

 日本では局所的な応用が主体です。全身的に摂取されたフッ化物は、胃や腸管から吸収され、その多くは尿から排泄されますが、一部は骨や歯に取り込まれます。歯の形成期にフッ化物が作用することで、むし歯に対して抵抗性の高い歯がつくられます。一方、局所的な応用では、生えてきた歯の表面にフッ化物を作用させてむし歯に抵抗性のある歯にしたり、洗口や歯みがき剤での継続的な応用によって口の中の環境を整えて再石灰化を促したりする効果もあるといわれています。

 過剰摂取による影響は、主に全身応用の場合に出やすく、飲料水中のフッ素濃度が適量だとむし歯予防に有効ですが、濃度が高くなると「斑状歯」といって歯の表面に白濁や白斑が生じてしまいます。また局所応用でも、塗布や洗口に用いる溶液を間違って飲んでしまうと、急性中毒として悪心、嘔吐などの症状が出ることがあります。塗布用の高濃度のフッ化物を用いるときは、専門的な管理が必要です。また、洗口法はうがいをして吐き出すことができる幼稚園児以上に用いられます。フッ素入りの歯みがき剤・ジェル・スプレーなどは、幼児用は少し濃度を低くして(大人用の1/2から1/10の濃度)、多少飲み込んでも安全なようにつくられています。

 お子さんは4歳ですので、うがいもしっかりでき、吐き出すこともできるでしょうから、誤って飲んでしまうおそれはないと思います。歯みがき剤やジェルは、ひと通り歯ブラシだけでみがいたあとで少量(グリンピースサイズが推奨されています)をつけてみがき、軽くうがいをする(または唾液を吐き出す)くらいの使い方でいいと思います。最初から歯ブラシの毛幅分の歯みがき剤をつけてみがこうとすると、口の中が泡だらけになってきちんとみがけず、また歯みがき剤を飲み込む率も高くなるので要注意です。

 むし歯予防には、フッ素や歯みがきとともに食生活の規律性や甘味物のコントロールが大切です。幼稚園での洗口と夜寝る前の歯みがき剤(ジェル)の使用ぐらいでは過剰摂取のリスクを考えなくていいと思いますが、フッ化物だけに頼らないむし歯予防も心掛けてくださればと思います。