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ママ・パパの気持ち

Q. 3歳の娘の母。人と接するのが怖く、幼稚園の体験入園の途中で帰宅しました。 (2014.6)

  • (妊娠週数・月齢)3歳

3歳の女の子の母親です。子育ての悩みというか私自身の悩みです。出産してからずっと家にいたせいか人と接するのがすごく怖く、先日幼稚園の体験入園に行ったときも周囲の母親たちに圧倒されてしまい、自分から話しかけもできず結局誰とも関わることができずに怖くなり、いてもたってもいられず途中で帰ってきました。子どもは幼稚園に行かせてお友だちをつくらせてあげたいのですが、どうしても行けません。母親失格でしょうか?

回答者: 帆足暁子先生

 いいえ、あなたはステキな母親です。お子さんを幼稚園に行かせて「お友だちをつくらせてあげたい」と思うのですから。あなたのその「思い」が母親としていちばん大切なのです。

 確かに、お子さんが3歳になるまでずっと家にいらしたなら、人と接するのがすごく怖くなるかもしれません。まず、怖くなることについて考えてみましょう。あなたの怖さには、必ず理由があるからです。

 実は、「怖い」と感じるのは、あなたがご自分を守ろうとして発信する危険信号なのです。過去のつらい体験と何かつながることがあると記憶が引き出され、警戒態勢に入ります。これは生きるうえで必要な知恵です。あなたの記憶があなたを守ろうとしているのです。何か、思い出されることはありますか。

 それから、次に考えたいこと。あなたと、今回幼稚園の体験入園で出会った人たちとの“心の距離”です。

 たとえば、日々の買い物などであなたが人と接するときは、「買い物」という明確な目的で人と接すると思います。目的が買い物なので「人」を意識せずに済みます。こういう他人は心の距離があるので、あまり「怖い」と意識せずに済みます。また、あなたが仲良しで安心できる人と関わるときは、信頼関係ができているので心の距離がなく、「怖い」という意識は起きてきません。

 問題になりやすいのは、その中間の場合で、今回あなたが悩んでいる関係だと思います。あなたは関わろうとするのだけれど「信頼関係のない仲間」なので、ほんとうは心の距離があるのに「距離がないように振る舞おうとする」ため、接するときに緊張して「怖い」と思いやすいのです。「仲間」なので親しくなりたいけれど、あるいは、親しくならなければいけないけれど、傷つけられる可能性も併せもっているからです。この可能性を感じて「怖い」という危険信号が出されているのかもしれません。

 それから、もうひとつ。お子さんのためにも良い関係をつくらなければならないという気持ちになられていたのではないでしょうか。お子さんのために、という強いお気持ちがあったとすれば、失敗しないようにと緊張して動けなくなることも考えられます。

 あなたが行きたくなければ幼稚園の体験入園には行かなくてもいいのです。あなたがいっしょにいたいと思える、気の置けない友人や親戚のお子さんたち、あるいは子ども支援センターなどでほかの子どもたちとお子さんが関わることでも、友だちはできていきます。あなたが安心できる環境のなかで十分です。そして、あなたはそのとき、ただ黙ってそこにいていいのです。あなたは、そのままで良いのです。

 子どもを育てるということは、自分を育てるということでもあります。これまで封印してきた、傷ついている心に直面する機会に恵まれるからです。ここでしっかり自分と向き合い、抱えてきた思いを整理することができると、より自分に自信をもって人生を楽しむことができます。