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性格・親のかかわり・育て方

Q. 4歳の長女。何事もよくできますが、苦手なことを投げ出すそぶりを見せます。 (2014.8)

  • (妊娠週数・月齢)4歳

4歳3か月の娘と2歳3か月の息子の母です。長女は赤ちゃんの頃から几帳面で慎重派です。4月生まれで保育園では何事も「いちばん」が多く、それをほめられてきたためか、体操教室などで苦手なことや自信のないことがあると、できることもわざとノロノロしてできないフリをしたり、「おしっこ」と言ってその場を離れたりします。小学校教員の友人に「プライドが高く、がんばりすぎてしんどくなる、嘘をついたり言い訳するようになる、生きるのがしんどいタイプ」などと言われています。頭の回転が速く、運動神経も良いほうですが、その分すんなりできないことにぶつかると苛立って投げ出すそぶりも出てきました。友人に「ほめるとすべてにがんばってしまう」とも言われ、どう対応していいかわかりません。

回答者: 高橋惠子先生

 日頃、まわりの大人が子どもをどのようにほめているか点検してみてください。このお子さんは、優れた能力を大人に安易にほめられることで、萎縮してしまっているのではないかと思われます。これは、周囲の大人がつくってしまった習慣ですから、大人が変わるとだんだん解放されると思われますので、あせらずに接してみましょう。大人は「ほめるのはよいことだ」と単純に考えますが、大切なのはほめ方なのです。

 子どもがよくできたとき、おとなは「すごいね!」「上手ね!」「よい子ね!」などと、何をほめているのかは明確にせずに、しかし、最上級のほめ方をしがちです。ところが子どもは、大人のこの無神経なほめ言葉に傷ついてしまうのです。いつも「優秀だ」というレッテルを貼られると、子どもはいつも完璧にできなくてはだめだ、失敗したらどうしようと不安になり、できそうにないことはやめておこうと考えてしまうのです。たとえば、ピアノ演奏をした子どもに「よく弾けたね!」「上手ね!」というほめ言葉を与えて、「もう一度弾いて」と頼むと、多くの子どもが「いやだ」と再度演奏することを拒むという結果が出ています。失敗を避けようとするのです。

 「すごいね!」「上手ね!」「よい子ね!」などというほめ方は、漠然とした全体的な評価なので、子どもはどこをほめられているのかわからず、存在そのものを「優秀だ」と評価されているように受け取ります。そして、もしも失敗したら「だめな子」になってしまうと考えます。子どもが失敗することを恐れ、新しいことに挑戦する勇気をもてなくなることも理解できるでしょう。

 上手なほめ方とは、「優秀だ」と決めつけるのではなく、子どもの行動のどこがよくできたのか、どこが素晴らしいかを、できるだけ具体的に伝えることです。たとえば、ピアノの演奏についてなら、「上手ね!」というのではなく、「音がとてもきれいだった」「聞いていたら、とても気持ちがよかった」などと、そして、お手伝いができたら、「○○がよくできた」「○○をしてくれたので、とてもうれしかった」などという具合に伝えましょう。大人が全体を評価しているのではなく、具体的な行動を見てくれているのだとわかれば、子どもも完璧にする必要はないとわかるでしょう。

 優秀だというレッテルを長く貼ってきたのですから、その習慣から抜けるには時間がかかります。子どもが「やりたくない」というときにはその気持ちを受け容れ、何かをがんばったときには「○○をがんばっているね」「○○がこの前よりよくできているね」と、具体的に表現して応援しましょう。大人があせってはいけません。