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歯とお口のケア

Q. 4歳の娘が歯科健診であごの発達の問題を指摘されました。注意点を教えてください。 (2014.10)

  • (妊娠週数・月齢)4歳

4歳11か月の娘です。歯科健診で、「奥歯であまり噛んでないので、あごが発達していない。そのため、あごと歯がアンバランスで矯正が必要になる」と言われました。娘はもともとマシンガントークで、食事中もしゃべることが多く、食事が進まないことがよくありました。今後は歯科医院で奥歯で噛む練習をするそうですが、自宅でやるべきことや注意することなどはありますか。成長につれてあごが発達し、治る可能性はあるのでしょうか。

回答者: 井上美津子先生

 あごの骨は手や足の骨と同じような成長様式を示しますので、身長が伸びる間(思春期の終わりの18〜20歳頃まで)はあごの骨も成長します。いまできることをやっていきながら、成長を待ちましょう。

 歯科健診で「奥歯であまり噛んでいないので、あごが発達していない。そのため、あごと歯がアンバランスで矯正が必要になる」と言われたとのことですが、お子さんは現在(乳歯の時期に)すでに歯並びが悪いのがはっきりしているのでしょうか?

 噛み合わせや歯並びは、あごの上下関係やあごと歯の大きさのバランスなどで決まります。反対咬合や上あご前突(いわゆる出っ歯)などのあごの上下関係は遺伝的要因も大きいものですし、同様にあごの大きさも親からの遺伝の要素が少なくありません。もちろん、骨の成長は出生後の運動や栄養によって影響を受けるものですので、咀しゃくなどの運動が不足するとあご骨の成長が十分行われない可能性もありますが、噛めば噛むほど成長が促進されてあごが大きくなるわけでもありません。

 このようにあごの成長にはさまざまな要因が関連するため、現在の歯並びや噛み合わせの問題や将来的な予測が、「奥歯であまり噛んでいない」ことだけが原因とも言えません。ただし、前歯噛みが中心の食べ方ですと咀しゃく力も十分発達しにくく、骨の成長にも影響を及ぼす可能性はあります。

 4歳ですと、わかりやすく説明すれば理解できる年齢ですので、いまのうちに奥歯を使ってしっかり噛むトレーニングをすることは大切でしょう。奥歯でよく噛む習慣を身につけることは、あごの成長の面ばかりでなく、唾液の分泌を促進して口の自浄性を高めることや、消化吸収を良くすることで歯や全身の健康にもつながります。

 また、食事中のおしゃべりは、親子のコミュニケーションとしては重要なものです。お子さんはお父さんやお母さんに話したいことがたくさんあって、食事のときもそちらに夢中になってしまうのかもしれませんが、しっかり噛んで食べる時間を確保することも大切です。食べ物を口に入れたら少し黙ってよく噛み、飲み込んでから次の話をすることや、左右の奥歯を使ってよく噛むことがおいしく味わうための基本であることをお子さんに伝えましょう。

 味を感じる「味蕾(みらい)」という細胞は主に舌の上にあるので、丸飲みや片側だけで噛んでいてはよく味わえません。食べ終わっても少し子どもの話を聞いてあげる時間を確保することで、よく噛んで食べる習慣をつけていきましょう。あごの成長の問題がすべて片づくとは言えませんが、良い咀しゃく習慣を身につけることはお子さんの一生の宝物になると思います。