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性格・親のかかわり・育て方

Q. 言うことを聞かない3歳の息子にイライラし、つい手が出てしまいます。 (2014.10)

  • (妊娠週数・月齢)3歳

3歳5か月の息子です。最近、とくに言うことを聞かなくなりました。と同時に、私も息子にイライラしてしまい、つい手が出てしまいます。お互いに日々、感情のぶつけ合いになってしまい、良くない感情で過ごすことで将来の親子関係にも良くない影響があるのではと不安です。正直、どのようにしつけをしたらいいのか、わかりません。周囲で、親の言うことをきちんと聞いている子どもを見ると、やはり自分の育て方が間違っているのかなと感じてしまいます。今後、どのような心構えや育て方をすれば、何を改善すれば、息子に私の思いや気持ちが届くのでしょうか。どうすれば、イライラせずに息子と良い関係を築いていけるのでしょうか。私自身の問題かもしれませんが、どうぞ教えてください。

回答者: 帆足暁子先生

 息子さんと良い関係を築いていきたいというあなたの思いが、息子さんに届かないのはつらいことですね。どうすれば、イライラせずに息子さんと良い関係を築いていけるのか、ひとつずつ一緒に考えていきましょう。

 まず、息子さんはどうして「最近、とくに言うことを聞かなくなった」のでしょうか。何か思い当たることはありますか。2歳代を中心とする「イヤイヤ期」でしたら、だんだん収まってきてもいいように思います。何かほかのことが原因かもしれません。

 「言うことを聞かない」というのは、「自我の強いお子さん」によく見られる行動のひとつです。「自分」というものをしっかりもっているステキな子どもです。でも、その強い自己主張に大人が押されて受け入れてしまうと、子どもは「強く言えば何でも自分の思いが通る!」ということを学習してどんどん強くなってしまい、結果として、家族はその主張に振り回されてしまいます。子どもは、淡々と大人に止められることで、「要求していい限界」を知っていきます。

 もしくは、不安を解消する手段として「言うことを聞かない」という行動をとる子どももいます。たとえば、愛されている自信がない子どもは駄々をこねながら(こんなに言うことを聞かなくてもぼくのことが好き?)と心の中から訴えてきます。方法が逆説的なので受け入れられることは少なく、叱られることでさらに不安になって「言うことを聞かない」という手段を繰り返すことになります。

 あるいは、夫婦関係が良くない場合にも不安を感じて「言うことを聞かない」という行動をとって、(ママ、ぼくの言うことを聞いて!安心させて)と心の中で訴えていることもあります。

 それから、息子さんに「イライラして、つい手が出てしまう」のはなぜでしょうか。何があなたをそういう思いにさせてしまうのでしょう。息子さんはまだたったの3歳。その息子さんに手が出てしまうくらいにあなたは追い詰められている。あなたの味方はいますか。あなたを深く理解して受け止めてくれる人はいますか。「私自身の問題かもしれません」と書かれていますが、その「問題」は何でしょうか。その「問題」に向き合うことはできますか。

 「息子さんと良い関係を築きたい」というあなたの思いは、息子さんにだけ届かないのではなく、実はあなたご自身の心にも届いていないような気がします。「良い関係を築きたいのに、そうできない」あなたの行動には、あなたなりにそうできない正当な理由があるのではないでしょうか。

 では、これからどのような心構えや育て方をすれば、そして何を改善すれば、息子さんにあなたの思いや気持ちが届くのでしょうか。

 あなたご自身の心構えとして大切なことは、あなたの「イライラする思い」がどこから来ているのかをまず考えてみることです。あなたがイライラする原因は必ずあります。あなたなりの正当な理由を整理してみてください。つまり、あなたが抱えているさまざまな思いを整理して、イライラする思いを少なくしようという心構えです。ひとりでは難しいかもしれません。絶対にあなたの味方である誰かと一緒に考えていくと良いと思います。「問題」の存在に気づいているあなたですから大丈夫です。

 そして、もうひとつの心構えは、あなたはあなたの思い……「息子さんと良い関係を築きたい」というご自分の思いを信頼して、これまで通り、その思いを大切にする心構えでいてください。

 お子さんの育て方は、これまで述べてきたことを参考にしながら、息子さんが言うことを聞かないのはどのようなときなのか、なぜなのかを考えてください。お子さんにも理由があるはずだからです。その理由がわかれば、それに応えれば良いのです。もし、わからなければお子さんに聞いてみてください。「どうして、言うことを聞かないの?」。そして、「ママはあなたと仲良くなりたいの。どうしたら仲良くなれるかしら?」。お子さんの気持ちをわかろうとするあなたの思いがあれば、息子さんとの良い関係は築けます。

 でも、感情のぶつかり合いを経験していると、気持ちがエスカレートする学習をしていますから、すぐに興奮して、簡単には言葉で答えてくれません。まずは、あなたが感情的にならずに淡々とていねいに言葉をかけていくと、子どももあなたと同じトーンになっていきます。お子さんが学習をしなおすまでじっとがまんすることが必要です。

 親の言うことをきちんと聞く子が良い子どもとは限りません。親に自分の思いを訴えて、もっと伸びようとする子どもの自我の強さは、親を超える成長をも子どもに約束してくれます。あなたにこうして相談させる気持ちを起こさせるくらいのエネルギーをもつ息子さんです。あなたの愛情があれば大丈夫。素晴らしいお子さんです。