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性格・親のかかわり・育て方

Q. 5歳の息子が、自分の思い通りにならないと口答えをしたり怒ったりします。 (2014.10)

  • (妊娠週数・月齢)5歳

5歳のひとり息子です。夏休みに入った頃から、自分の思うようにならないと怒って口答えをするようになりました。子どもの要望に応えられないときは、穏やかにその理由を説明するのですが、何回言ってもわからないと、腹が立って怒鳴ってしまいます。すると「〇〇しないなら××しないよ」とか、話を聞いていても「ママは全然聞いてないね」と怒ります。また、オセロゲームなどで負けると「もういい」と怒って泣き出して途中でやめたり、息子がズルをして私が「もうやめよう」と言うと、私を後ろから押したり、ゲーム盤をぐちゃぐちゃにしたりします。幼稚園に入ってだいぶ落ちつき、言うことも聞いてくれるようになっていたのですが……。どうしたら、素直に親の言うことを聞いてくれるようになりますか。 ゲームは子どもに勝たせてあげるべきですか。しつけをしなくてはと、息子には些細なことで注意してきました。どこに目をつぶればいいのか、わかりません。

回答者: 高橋惠子先生

 そろそろお子さんは幼児期が終わり、児童期に移行しようとしていることを理解しましょう。児童期の子どもは、目の前の現象に左右されずに物ごとの筋や理屈を考えることができるようになってきますし、言語能力も発達し相手の言うことを理解し、自分の考えや気持ちを言葉で表現できるようになってきます。したがって、幼児のように扱われることにはがまんがならないのです。

 母親から見ると、子どもはつい最近まで「おむつをしていた」「ママ、ママと甘えていた」「母親の助けが必要なはず」と考えがちですが、子どもには早く大きくなりたいという気持ちがありますから(子どもは多くのことを、もっと大きくなったらね、とがまんさせられてきているのですから)、知的能力が発達してきた5歳にもなれば、子どもは「自分は赤ちゃんではない」「赤ちゃん扱いしないで」という考えが強くなるのです。子どもには児童期が始まっているのだと明確に意識してみましょう。すると、子どもとの付き合い方も変わってくるはずです。

 たとえば、子どもが自分の考えを述べているのを「口答え」ととってはいけません。子どもが考えを述べているのに、「言うことを素直に聞かない」ととるのは誤りです。子どもは親とは異なる「自分の考え」を主張しているのだと考えましょう。まだ5歳ですから主張が間違っていることが多いかもしれませんし、許せないことも多いでしょう。むろん、親は子どもの言い分をすべて受け入れる必要はありません。

 ここで大切なことが少なくとも2つあります。①子どもの意見に耳を傾け、理解しようとすること、②親がしっかりした考えを表明し、親には明らかな理屈があることを示すことです。これによって、子どもは母親を尊敬するようになります。自分の意見を聞いてくれるうえに、しっかり考えがあるのだ、凄い人だなと思うのです。

 ゲームをして子どもがズルを許されたり、大人がわざと負けるのは子どもを「おみそ」として扱うことです。自分は赤ちゃんではないと思っている子どもは、「おみそ」扱いは嫌いですが、ゲームに負ければとても悔しいという経験も当然します。勝者の母親に当たっているのは幼児性が残っているからです。このとき、①母親はゲームに勝ってしまっていいですし、②八つ当たりは悪いことだと伝えましょう。しかし、③ゲームの度にこのようなもめ方をするのが不快なら、「こんなふうにゲームをしても楽しくないからやらない」と宣言して、断固やめてはいかがでしょう。 

 子どもが児童期に入りながらうまく幼児期から移行できないのは、母子関係だけの閉じた付き合いのなかでそれが起こっているせいでもあります。この時期には、子どもの人間関係をもっと広げてみるといいでしょう。

 幼稚園に通いだして変わってきたのは良い兆候です。父親に男同士の付き合いで積極的に関わってもらうといいでしょう。たとえば、オセロゲームの相手は父親や年上のいとこが適任でしょう。育児・世話を母親だけが抱え込まないことが大切です。

 急速に成長していく子どもと付き合っていくには、親には人としての発達が欠かせません。人間として子どもに伝えなければならないこと、あるいは、許してはいけないことは何かを、親が学ぶことがますます大切になります。