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性格・親のかかわり・育て方

Q. 私が復職後、3歳の長男が不安定になりました。どう対応すればいいですか。 (2014.11)

  • (妊娠週数・月齢)3歳

3歳男の子と1歳女の子の母です。長男について相談します。下の子の育休中に引越し、保育園を退園しました。育休後に兄妹とも同じ保育ママさんに預けて復職したのですが、私の帰宅は20時過ぎで、夫が子どもたちを迎えに行き、予め準備しておいた夕食を食べさせます。私が帰宅後に入浴させ、22時頃に寝るという毎日です。私が復職後、長男の不安感が強くなり、食欲不振、指しゃぶり、夜中に歯ぎしりをするようになりました。なるべくかかわる時間をとるよう、家事は子どもの就寝中にやっています。保育ママは、お昼寝以外は楽しいようで落ち着いて過ごせるようになっていますが、子どもの不安感やSOS症状にどう対応すればいいのか、悩んでいます。夫は私が退職するよう責め、私の両親は要介護状態です。自治体相談では、来年4月、新しい集団生活(認定こども園になる幼稚園に通園予定)になるまで様子を見てくださいとのこと。ただ、不安定なわが子を見ていると漠然と時間の経過を待っていることがつらくなり、何かできることはないかと思案しています。

回答者: 帆足暁子先生

 そう、確かに4月まで漠然と過ごすのはもったいないです。ご一緒に、できることを考えましょう。

 お子さんの不安感、食欲不振、指しゃぶり、夜中の歯ぎしりなど不安からの訴えですから、お子さんが安心できるようにかかわることが必要です。では、どうしたら安心できるでしょうか。

 まず、何が不安の原因なのかを考えてみます。育休、転居、保育園の退園、保育ママ、あなたの復職、お子さんの生活は随分変わったことと思います。この生活の変化が不安の原因かもしれません。生活環境が変わるということは、そこで安定していた子どもに「ずっと同じではない」という現実を突きつけます。これは、大きな不安です。大人のあなたでも大変だったと思います。ただ、大人はそれらの出来事には必然性があることはわかりますし、これまでの経験から事前に覚悟することもできますが、子どもはそうではありません。言葉で説明されても体験がありませんから、理解することは難しいのです。ですから、「また何かが起きる」という予測のつかない不安な状況に陥ってしまいます。

 あるいは、それらの生活環境の変化ということよりも、あなたや夫の精神的なゆとりのなさがお子さんに不安な気持ちを起こさせているのかもしれません。環境が変わることは大人にもストレスを与えます。それでも何とかがんばってやりくりして日々過ごしていきますが、やることが多すぎて心にゆとりをもつことが難しい場合もあります。そういう親の切羽詰まった状況を、案外、子どもはキャッチして不安になってしまいます。

 では、お子さんが安心できるためにはどう対応したらよいか、です。
 生活環境の変化からくる不安であれば、あなたがしていらっしゃるように、「なるべくかかわる時間をとるよう、家事は子どもの就寝中にやる」ということがいちばん良い方法です。そして、保育ママさんの家での状況を把握して、お子さんが安心できる方向にいるかを判断することも大切なことです。「お昼寝以外は楽しいようで落ち着いて過ごせるようになっている」ようであれば、ひと安心です。でも、お昼寝が楽しくないようなら、しばらく無理にお昼寝させないでほしいとお願いすることも必要かもしれません。なぜなら、安心できないときに「睡眠」「摂食」「排泄」に困難さを抱えるからです。無理にさせるとかえって不安感が強まりますので、楽しく遊ぶことに目標を置いてもらうとさらに安心できるようになり、自然に困難さがなくなります。

 そして、時間のある週末などに、お子さんの好きな場所に出かけたり、好きなことを一緒に楽しんだり、心身ともにリラックスして楽しむことができれば、不安を吹き飛ばすこともできます。そのときのコツは子どもの五感を十分に活用することです。
 あるいは、ゆったり楽しいと思いながらお子さんと接する時間を、寝る前に5分つくること。おでことおでこをくっつけたり、添い寝で抱っこをしたりしながら、想像できる明日の楽しいことをお子さんに話して「ママの大好きな〇〇ちゃん! 明日も楽しいことがありますように!」と願いごとをして、あえて何もせずに一緒に寝てしまうのも良いと思います。
 これらの「安心感」を基盤として、生活環境に変化があっても、すなわち予測のつかない「何かが起きてくる」ことがあって不安になっても、楽しいことはあるし、また安心できるという体験を蓄積させていくことができれば、これほどこれからの人生を生きる力が強く育まれることもありません。
 生きるということは、大なり小なり不安を抱えて生きることです。お子さんはいま、大きく育つチャンスでもあります。

 そして、あなたや夫の精神的なゆとりについてです。子どものためを考えて必死で何とかしようとがんばることは大切でもありますが、バランスが大事です。「子どものため」だけよりも「自分のため」も少し考えて、笑える心のゆとりをもてる状況であってほしいのです。なぜなら、子どもが安心して幸せだと感じるのは母親や父親が笑っているときだからです。子育ては「互恵性」と言われています。お互いに幸せであることが、求められることなのです。

 最後に。あなたは、母親としてよくがんばっています。ひとつひとつできることをきちんと考え、実行しています。それでも、うまくいかないことはあるのです。文面からは、夫から仕事を辞めるように責められていることやご両親が要介護状態で助けてはもらえないことがうかがえます。その状況のなかで、あなたは毎日20時過ぎに帰宅して、子どもたちを入浴させ、22時頃に子どもたちが入眠したあとで家事をされています。あなたがひとりでがんばりすぎていないかが、心配です。あなたがつらくなったとき、自分の思いを話しに行く時間はないかもしれませんが、保健センターや子ども家庭支援センター、そして、こうした子育て相談等々、あなたの支えになろうとする人たちがいます。それを忘れないでください。