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性格・親のかかわり・育て方

Q. 2歳のひとり息子の言動から、息子に嫌われているのではと感じます。 (2015.2)

  • (妊娠週数・月齢)2歳

2歳10か月のひとり息子に嫌われているのではと、悩んでいます。託児所に預けて就職セミナーに参加する機会がありますが、終了後に迎えに行くと、ほかの子たちはママの姿を見るなり「ママ〜」と飛んでくるのに、息子だけ「いやあ」と言って帰りたがりません。保育員の方にも「ママ迎えにくるよって言ったら、〇〇くんだけイヤって言うのよ」と何度も言われました。児童館や幼稚園の園庭開放に連れて行くといつまでも帰りたがらず、いちばん最後になっても帰ろうとせず、バタバタしながら転がって「イヤイヤ」と言い、手に負えません。家でも、歯みがきもお風呂もパパとです。食事には気を遣っていますが、とくに厳しく育てているつもりはなく、「私はいなくてもいいのかな」と悲しくなります。私の息子への接し方などに何か問題があるのでしょうか。

回答者: 高橋惠子先生

 このお子さんは、父親を第一の愛着の対象にしているのだと考えられます。母親が迎えに来ても一緒に帰りたがらないこと、母親と再会してもそれほど喜ばないこと、日常生活でも父親のケアをより好んでいること、などからそれがうかがわれます。もしも父親が託児後に迎えに行ったら、喜んで一緒に帰るのではないかと予想されます。しかし、父親が留守であれば、母親のケアを嫌がることもないでしょうから、母親は愛着の対象として二番手になっていると考えられます。

 母親としては、二番手にされるようなことはしていない(とくに厳しく育てているつもりはないと書いておいでです)、子どもの世話を一所懸命にしているのに「私はいなくてもいいのかな」と悲しくなるという心境は理解できます。

 しかし、愛着の対象を選び、重要さの順番をつけるのは子ども自身です。したがって、母親がおもな養育者である家庭でも、2〜3割の子どもは母親以外の人(父親、祖母、保育者など)を第一の愛着の対象としていると報告されています。いわゆる、「お父さん子」「おばあちゃん子」の存在です。

 長年にわたって多くの母子関係を調べてきた研究者は「反りが合わない母子がいる」と表現しました。「刃身とそれを入れる鞘の反り具合が合わない」、つまり、互いの気持ちが合わない母子がいるとしたのです。

 どのような要因が反りを合わせるのかはよくわかっていませんが、注目されている理由のひとつは、「子どもに応答的であるか」ということです。応答的というのは、親が子どものペースに合わせて反応するということです。たとえば、子どもは「のんびり、穏やかタイプ」であるのに、母親が「活発で、にぎやかタイプ」であれば、この母子がそのまま交渉すればうまくいきません。母親は、子どもに合わせて反応することが必要ですし、そのためには、子どもが何をどのようにしてほしいのかに気を遣うことが必要になります。もしも、父親が子どもに似て「のんびり、穏やかなタイプ」で上手に相手をしてくれれば、子どもは父親をより好ましい相手として選ぶことになります。

 父親が第一の愛着の対象になっていても、子どもの発達に不都合はありません。子どもには安定した愛着ができていますし、父親が留守であるときには第二の愛着の対象である母親もいるのですから、万全です。父親のケアをより好むのですから、「助かった、お願いね」と、母親としては割り切ることです。してはいけないことは、父子関係に嫉妬したり、子どもに対して「お母さんはいらないのね」などと試したりすることです。「ママが迎えにくると、イヤと言うのよ」などという保育員には「お父さん子なので」と返せばいいでしょう。

 児童館などで帰りたがらないときには、たとえば、「100数えたらね」「時計が20まできたら帰ろうね」などと約束させて、少し子どもの気持ちに余裕を与えてから、約束をしっかり実行するのはいかがでしょう。

 子どもとの関係は子どもの成長にともなって変化しながら生涯続きます。尊敬される母親であり続けるために、ケアが省けるようであれば、その時間を自分のために使って自分を磨いておきましょう。