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発育・発達

Q. 1歳6か月健診で指さしができず、発達の遅れを指摘されました。 (2015.2)

  • (妊娠週数・月齢)1歳6か月

1歳6か月児健診で指さしができないことを指摘され、発達に問題があると言われました。小児科医の発達相談を受けるようにとのことですが、とても不安です。指さしは家でもできません。何か取ってほしいときは自分で手を伸ばして取るか、手を伸ばして私を見ます。1歳3か月で歩けるようになったことも「遅い」と言われました。言葉の発達は5個の単語を話せます。食事は手づかみ食べとスプーンなどを使って食べています。積み木はできませんが、コップなどで遊びます。「ポイして」と言うとできます。名前を呼ぶと返事はしませんが、手を上げてニコッとします。ひとりで遊ぶことが多く、他の子がいても一緒に遊ぶことはあまりしません。いまだに何でも口に入れます。今後、どのような様子が見られたときに発達の異常だと診断されるのでしょうか。また、できるだけ発達を促すために、できることはありますか。

回答者: 横田俊一郎先生

 「指さし」とは、絵本を見せて「わんわんはどれ?」と問うたときに絵本の中の犬を指でさすことができること、というように考えている方もいますが、そうではありません。発達の過程で問題とされる「指さし」は、ミルクを飲みたいときに哺乳びんを指さしたり、散歩中に犬を見つけてうれしくなりお母さんに知らせるために犬を指さしたりすることを意味しています。

 指さしは非言語的なコミュニケーション能力を評価するものとして大切なものです。言語的な能力がまだ十分でない時期に、子どもは要求や興味を指で示すことによって表現しようとしているのです。子どもは、指さしをしながらお母さんの顔をのぞきこんだり声を出したりして、何かを訴えようとします。指をささなくても、興味あるものを見つけたときにお母さんの顔を見て同意を得ようとするのであれば、それも立派なコミュニケーションです。普通は1歳を過ぎると指さしをするようになりますが、広汎性発達障害のようにコミュニケーション能力に課題がある子どもの多くは指さしをしません。

 ご相談のお子さんですが、「何か取ってほしいときは自分で手を伸ばして取るか、手を伸ばして私を見ます」とあるように、「お母さんを見る」ことでお母さんにメッセージを送っていると思えますし、「名前を呼ぶと手を上げてニコッとします」ということからも、コミュニケーション能力に問題がありそうには思えません。

 さまざまな乳幼児の発達の程度を知るために、デンバー式発達スクリーニング検査法が使われています。75%の子どもが、「上手に歩く」のは15か月半、「パパママ以外に3語を話す」のは18か月、「スプーンを使う」のは18か月、「簡単なお手伝い」ができるのは16か月半などですから、ご相談のお子さんには発達に大きな遅れがあるとは思えません。1歳6か月では友だちと一緒に遊ぶことはまだできませんし、いろいろなものを口の中に入れるのも正常な子どもでよく見られることです。

 子どもに遅れがあるのではないかと心配しすぎた状態で子育てをすることは、子どもに良い影響を及ぼしません。遅れがあってもなくても、子どもをかわいがりよく遊んであげることがいちばん大切なことです。コミュニケーションについて言えば、子どもが指さしをしたときに、「わんわんがいたね」とか「ジュースがほしかったのね」などと、子どもの意図を汲んで指さしに応えてあげることが大切です。子どもはお母さんが応えてくれたことで、またお母さんに語りかけようとするのです。