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病気・予防接種

Q. 生後5か月。血液検査で肝臓の問題が指摘されました。 (2015.3)

  • (妊娠週数・月齢)5か月

もうすぐ生後5か月になる男の子です。生後1か月のとき、母乳を吐いた中に血が混ざっており、小児科で血液検査を受けて肝臓の数値が高いことを指摘されました。その後は血を吐いていません。最近(生後4か月)の検査ではAST74、ALT88、コリンエステラーゼ942でした。一時期ASTが101になったこともありますが、数値は良くなることなく横ばいが続いています。2か月のときに受けたウイルス検査では、B型肝炎は陰性、サイトメガロウイルス、EBウイルスは共にIgM陰性、IgG陽性でした。ビリルビンは正常値です。主治医の先生は「原因不明、定期的な血液検査のみで様子を見ていく」と言われ、エコーなどはしていません。ほんとうに、このまま様子を見ていてよいのでしょうか。コリンエステラーゼが高くなっているのも気がかりです。先天性サイトメガロウイルスなどではないかと不安も感じています。今後の対応について教えてください。

回答者: 横田俊一郎先生

 軽度の肝機能障害が続く乳児についてのご質問です。新生児期から肝機能障害を起こす病気としては、原因不明の「新生児肝炎」という病気がよく知られています。この病気は凝固異常を併発して出血しやすくなることがあるので、ご相談のお子さんが血を吐いたということからは疑わしいと考えましたが、ビリルビンが正常、つまり黄疸がないという点から新生児肝炎にはあてはまりません。

 サイトメガロウイルス、EBウイルスの抗体が、IgM陰性、IgG陽性という検査結果は、臍帯を通してお母さんから移行した抗体があるということで、お子さんがこれらのウイルスに感染したことは示していません。体内で感染した場合にはIgM抗体が陽性になるのが一般的です。また、先天性サイトメガロウイルス感染症は、低出生体重、肝脾腫、小頭症など多彩な症状があるので、担当医も見逃すことはないと思われます。

 AST、ALTの乳児の正常値の上限は成人と比較して高く、75程度までは正常域なので、肝機能障害はあっても軽度です。コリンエステラーゼは3か月児の正常値が260〜560です。肝硬変や慢性肝炎で低下するのですが、942という値は逆に上昇しています。コリンエステラーゼの上昇は糖尿病や肥満、甲状腺疾患、ネフローゼ症候群などで起こることが知られていますが、どれもあてはまりそうにはありません。

 このように、メールに書かれた情報だけからでは原因を探すのは難しそうで、お子さんの状態に大きな問題がなければ定期的な経過観察を行うしかありません。経過が長引くときには、肝臓病を専門としている小児科医がいる総合病院や大学病院、小児病院などへ紹介してもらうのもよいと思います。