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食事と栄養・離乳食

Q. 完全母乳の8か月の子。離乳食が進まず、体重も増えません。 (2016.1)

  • (妊娠週数・月齢)8か月

生後8か月の女の子です。完全母乳で育てています。生後6か月から離乳食を始めましたが、何をあげてもまったく食べません。小児科医の先生や栄養士さんなどいろいろな方に相談してきました。小児科医には「無理矢理にでも食べさせなさい」とか「やり方が悪い」とか「3回食にしなさい」などと言われましたがうまくいかず、どうすればいいのかわかりません。体重も生後4か月からずっと横ばいで、むしろ最近は少し減っています。ミルクをあげてみましたが、ストローマグで2口しか飲みませんでした。母乳そのものは月2回助産院に通って見てもらっていて、しっかり出ているので問題はありません。離乳食も食べない、ミルクも飲まない、体重も減っている……こうした状況をどう改善すればいいのかわからず、毎日不安で仕方ありません。どんな問題が考えられますか。また、健やかな発育のために、これからどうすればいいでしょうか。

回答者: 横田俊一郎先生

 離乳食が進まないという相談は少なくありません。生後5か月くらいまで、赤ちゃんは母乳だけで問題なく育ちますが、それを過ぎると母乳だけでは不足するものが出てきます。母乳を飲んでいるからということであまり気にしていないお母さんもいますが、実はいろいろと問題もあります。

 もっとも問題となるのは鉄の不足です。母乳中には鉄分が少なく、新生児期は胎内でお母さんからもらった鉄で必要な量を賄っていますが、5か月を過ぎる頃からは鉄不足に陥りやすく、検査で貧血が見つかることもよくあります。鉄は体の中のいろいろな酵素に使われていますので、鉄不足は単に貧血になるというだけでなく、運動機能や精神発達にも影響が出るという報告が少なくありません。

 それでは離乳食を食べようとしない赤ちゃんに、どのようにして離乳食を進めていったらよいのでしょうか。無理矢理に食べさせるというのは感心しません。食べたくないものを無理矢理に食べさせられると、食べること自体が嫌いになってしまい、その後の食生活に問題を残すこともあります。また、いやいや食べたものはきちんと栄養として働かないということさえあります。

 赤ちゃんはご両親が食事をしている様子を見ていると、食べたそうな素振りをすることが多いですが、そのようなときが狙い目です。そういうときに少しずつ与えてみるのがよいでしょう。ご両親がおいしそうに食事をしている姿を見せることも、とても大切なのではないかと思います。

 また、離乳食を食べないからとすぐに母乳を与えてしまいがちですが、そのことが支障となっておなかが空かないという場合もあります。そのような場合には、昼間の授乳回数を減らして、慌てずにおなかが空くのを待つのもひとつの方法です。

 いずれにしても、4か月間も体重が増えていないのであれば、もう一度小児科の医師に相談し、血液検査なども行ってどこかに問題がないかをチェックしてもらうことが必要です。全身のさまざまな病気で体重が増えないこともありますし、重症な貧血がある場合には貧血を治療することで食欲が出ることもあります。

 そして、診察や検査でも異常が見つからなければ、焦らずゆったりとした気持ちで取り組んでいくのがよいと思います。