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気になる子どものようす

Q. 4歳の息子。行事になると集団行動ができなくなります。 (2016.11)

幼稚園に通い始めた4歳になったばかりの息子は、参観日や親子遠足になると、とたんに集団行動ができなくなります。普段はお友だちとの関わりは少ないものの、課題やお手伝いには積極的に取り組んでいるようです。母親がいると甘えてしまい、要求された行動を行わず、結果として周囲に迷惑をかけてしまいます。叱って改善するものでもないので、時間の許す限りは寄り添い、本人が行動する気持ちになるのを待っていますが、はたしてその方法でいいのか自信がありません。本音を言えば、いたたまれない気持ちでいっぱいです。ネットでは、つねに集団行動ができないタイプの子の例しか見つけられず、途方にくれています。

回答者: 汐見稔幸先生

 4歳になればみんなと同じように、集団に求められているような行動を、「テンポ、リズムをあわせてできるようにならないとおかしい、できないのは何か問題があるから?」と思っている保護者の方は多いように思います。

 しかし、少し冷静に考えれば分かりますが、みんなと同じように行動できるということは、幼い子どもにとっては相当のハードルを越えなければならないことなんです。江戸時代の4歳児を今の日本につれてきて、全員で同じことをしようと呼びかけても、できない子はたくさんいると思います。何せ、明治の初め、農民に軍隊の行動を覚えさせようとして整列や一斉行進をさせようとしても、なかなかできなかったという記録があるくらいですから。全体にあわせて行動するということは、そんなにやさしいことではないのです。

 私の2番目の息子も、ご相談のお子さんとまったく同じで、全体とあわせて行動することができませんでした。運動会の練習になると、部屋の隅っこで指を吸って見ていたような子でした。でも親としては、わが息子はシャイな性格だし、マイペース人間なので、全体とあわせる意味がわからないのだろう、あるいはみんなが同じことをすると緊張するのだろう、というぐらいの感じで放っておきました。すると5歳になったある日、突然数人で同じことをすることができるようになり、先生も大喜びでそれを伝えてくれました。今はきちんとした社会人です。

 ですから、集団行動が苦手ということだけで、他に特に気になることがないようでしたら、そのうちできるようになるはず、と気楽にかまえて見ていてあげるのが得策だと思います。集団で同じことをする場面では、おそらくお子さんも緊張感が強くなるのだと思います。なのに、それをとがめたり、叱咤したりすると、もっと緊張感が増しますので、できなくても大丈夫、そのうちにしたくなるから、というまなざしで見ていてあげるのが一番です。小学校に上がる頃には、社会性も自信も育ってきますので、少しずつ集団行動に慣れていくと思います。

 くれぐれも、うちの子はダメな子だというまなざしで見ないようにしてあげてください。子どもに苦手なことがあるのは当然です。それよりもうちの子、こういうことをすると面白いのよね、というようなまなざしでいつも見ていてあげるようにしてください。それが自信を育てる有効な方法です。