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性格・親のかかわり・育て方

Q. 5歳の娘の言動に、イライラしてしまいます。 (2017.3)

  • (妊娠週数・月齢)5歳

5歳の娘の言動がわがままで、度を越すことが多いように思えます。私もイライラしてきつい言い方になり、それで娘もふてくされ、険悪な雰囲気になります。1歳3か月の染色体疾患の弟がおり、普段はかわいがってくれますが、少々扱いに手荒いところがあり、注意されても同じことを繰り返します。娘の言い分を聞いた上で、いけない理由を優しく説明しても話を聞かないことも多く、小言が増えてしまいます。改善しようと私なりに努力するのですがうまくいきません。弟が娘の遊びの邪魔をしないように、別の部屋で遊ばすなど気を配るのですが、結局、娘がわがままを言い出すと私もキレてしまいます。主人はあてにならず、親も遠方です。子どものわがまま・要望に対し、親としてどのように応じるべきか?イライラしないヒントを教えていただければ幸いです。

回答者: 帆足暁子先生

 頼れる人のいない中で、よく頑張っていらっしゃいますね。その上、あなたはどうしたらよいかをちゃんとわかっていらっしゃる。娘さんの言い分を聞いた上で優しく説明したり、二人を別々の部屋で遊ばせたりされることはとてもよい対応です。それでも、現実には、思うようにいかないことが起きてきます。

 人は、物事が思うように進むときには、自信に満ち、気持ちが落ち着いていられるのですが、思うように進まないと不安になり、その不安な気持ちが、攻撃的でイライラする気持ちを起こさせます。つまり、イライラしないためには、不安を整理することが必要になります。

 なぜ娘さんは「度を越すことが多いよう」な「言動がわがまま」なのでしょう。なぜ「ふてくされ、険悪な雰囲気に」なってしまうのでしょう。娘さんの気持ちになって考え、娘さんの理由を感じ取ることが、イライラしないヒントの1つです。なぜなら、子どものすることには必ず理由があり、その理由がわかると、不安は整理され、イライラする気持ちが消えていくからです。

 娘さんは、弟さんのこと、普段はかわいがってくれるのですね。それなのに、なぜ、弟さんに少々手荒い扱いをすることを何度注意されても繰り返すのか、なぜ、優しく説明をしても聞かないことが多いのか、娘さんがそうせざるを得ない理由があるはずです。

 娘さんは5歳。まだまだ5年しか生きていません。1歳3か月の染色体疾患の弟さんがいるからがまんしているけれど、本当はとても甘えん坊なのかもしれませんし、悪気はないけれど不器用で手荒い扱いになってしまうのかもしれませんし、注意力の持続がむずかしくて何度注意されても繰り返してしまうのかもしれません。いずれも娘さんに責任はありません。でも、責められたり、気持ちをわかってもらえなかったりすると、そのつらさ悲しさの裏返しとして「度を越すわがまま(自己主張)」になることがあります。

 もう1つのイライラしないヒントです。
子どもは、大人から受けた言動を基盤に、自分から大人やまわりのきょうだいにと広げていきます。ですから、あなたが、娘さんに望む言動を、あなたがモデルになってあなたから娘さんにしていくことで、娘さんのあなたや弟さんへの言動が変わっていきます。もちろん、これまでの生活の中で娘さんが学習してきたことがありますから、簡単には変わらないかもしれません。でも根気よく丁寧に、あなたから望ましい言動を娘さんが受けることで必ず変わっていきます。そうすると、あなたのイライラも消えていくはずです。

 それから「わがまま」ということについて、改めて考えてみていただきたいと思います。

 実は、わがままは、子どもの発達過程として大切なことなのです。でも、「わがままは悪いこと」と捉えられがちですから、わがままを直さなければとつい叱りたくなります。叱るとふてくされるので、さらに直さなければと考えイライラしてしまいます。でも、「わがままは発達に必要なこと」と捉えると、わがままを肯定する新しい価値観で娘さんを見ることになり、わがままを直さなければという不安を解消することができます。80年ほど前、東京女子高等師範学校附属幼稚園(現 お茶の水女子大学附属幼稚園)の主事をされていた心理学者で幼児教育の先駆者の一人、倉橋惣三は、「自我感情が主になっている子ども生活が、常にわがままでありがちなのは自然のことである。即ちわがままということはひと通り子どもの自然性であるといえるのである。のみならず其の間に強い自我の養成がされるのである。(倉橋惣三『育ての心(下)』フレーベル新書1976 28頁)」と述べています。つまり、娘さんはこれからの人生を生き抜くための、自我の養成をしている、ということになります。

子どものわがまま、要望に対してどのように親として対応したらよいのか。あなたの方法は正しいです。正しいのに問題が生じるときには、別の部分に問題があると考えます。
イライラしないためのヒントを参考にしながら、あなたが出来ること・出来ないことを淡々と穏やかに娘さんに伝えてください。必ず、わかってくれるようになります。

もし、不安なときには是非あなたが信頼できる専門家(子ども家庭支援センターや保健センター等のスタッフ)をみつけて、一緒に考えてもらってください。