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教育・保育

Q. 生後7か月。子どもの発達によい環境を与えたいのですが、どうすればよいでしょうか? (2017.5)

  • (妊娠週数・月齢)7か月

現在7か月の子どもがいます。最近は、赤ちゃんを対象にした幼児教室などがいろいろあり気になっています。しかし我が家の場合、通わせるにのは経済的に厳しく、また保育園にも入れず待機児童となっているので、子どもの発達に有効な遊びや教育を充分に与えられているのか不安を感じています。また、言葉のシャワーをあびせて言葉を早く覚えさせようとしていますが、他に、普段、どのようなことに気をつけて子育てしていけば、発達によい環境を与えることになるのでしょうか?

回答者: 高橋惠子先生

 それぞれの乳幼児の生活環境がその子どもの発達にとって申し分ないかを知るには、子どもが毎日楽しそうに笑って機嫌がよいか、身体の状態が良いか(すなわち、その子なりに体重が増えているか、食欲があるか、排泄が順調か)を見るとよいでしょう。これが、環境が「その子にとって最適か」を測る目安になります。子どもの様子をよく観察して最適な環境に調整しましょう。

 まず、大切なことは、「その子にとって最適」な環境を用意することです。周りの情報を処理する量や速さには個人差があるからです。この差は子どもが両親から受け継いでいる気質によります。静かにしているのが好きな気質の子どもは、音や声が騒がしい環境、玩具があふれているようなにぎやかな環境が苦手です。父親があやそうと大声を出すと泣き出したり、商店主の呼び込みの声に驚いたり、騒がしい場所を嫌います。このような子どもの場合には、テレビやCDの音量を絞ったり、両親も静かに話しかけることが必要です。
一方、活動的な乳幼児では、母親とだけ過ごすのが苦手で、外に行きたがったり、子どもが遊んでいる公園などに行くのを好み、一緒に砂場遊びに加わったりするでしょう。もちろん、これらの中間の気質の子どももいます。いずれにしろ、子どもが毎日を楽しく暮らしているか、ストレスをためていないかを観察しながら、環境を調整しましょう。

 さまざまな早期教育が巷にはびこり、“言葉のシャワーをあびせる”というような育児法がネットで広まる現在は、親に迷いが生じるのは理解できます。しかし、早期教育の効果は発達心理学では認められてはいません。逆に、子どもがストレスを感じたり、本来なら遊びの中で獲得されるような、人間として必要な能力を発達させそこなうと警告しています。“言葉のシャワーをあびせる”などというのは、子どもにとっては迷惑なことです。子どもは、生活の中の必要な流れの中で言葉をかけられ、覚え、そして、自分も使います。普通に暮らしていれば、当然、言葉を獲得しますので安心してください。

 今日のように情報過多の時代には、偽の情報に簡単に踊らされないように、育児の信念や情報を選択する能力を持つことが必要です。そのためには、親の“人間として”の発達が不可欠です。育児をしていると“良い親”になることに関心が集中しますが、育児は人間としての営みの一部です。人生90年時代です。親自身がどのような90歳までの生涯を送りたいのかを学び、考え、夫婦で話し合ってみると、子どもの発達にとっても何が重要かが見えてくるのではないでしょうか。そのような広い長い見通しのなかで、育児を考え、楽しんでほしいと思います。