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ママ・パパの気持ち

Q. リストカット痕を4歳の娘にどう説明すればよいでしょうか? (2017.6)

  • (妊娠週数・月齢)4歳

4歳の娘がひとりいます。私は20代でうつになり、リストカットや自殺未遂を繰り返していました。今はうつを克服しましたが、リストカットの痕が腕に深く残り、それを娘が不思議そうによく触ってきます。最近では「これなあに?」と尋ねられるので、どう答えていいのかわかりません。とりあえず「わかんないけど、恥ずかしいから隠しておくね」としか言えません。いつかこの痕が何だかわかる時が来るのでしょうが、今はどう答えていいのか困っています。

回答者: 帆足暁子先生

 そうですね。リストカットの痕にあるあなたの思いを、娘さんがわかるときは必ず来ますが、まだ4歳なのですね。4歳は、知的好奇心が旺盛な年でもあります。純粋に、これは何だろうという疑問をもって、「知りたい」という思いなのでしょう。でも、だからこそ、娘さんの純粋な疑問に、あなたはどう答えていいのか困っているのだと思います。確かに、お子さんの年齢と、あなたの腕に残る痕の思いをどこまで伝えるかということは、その時期や状況によって変えていくことも大切かもしれません。 

 一番大切なのは、あなたはどうしたいか、ということです。あなたが一切触れてほしくない、という思いでしたら、そのまま「わからない」といって切り抜けていくこともよいと思います。あるいは、あなたが話したいという思いでしたら、どこまで、どのように話したいのかということを考えて、ご自分が納得できる内容や話し方でよいと思います。いつかは話したいけれど、今はまだ話せないという場合には「大きくなったら話してあげるから、待っていてね」という説明の仕方もあります。

 ただ、忘れてほしくない大切なことがあります。

 あなたはうつになってから、リストカットや自殺未遂を繰り返されました。それだけつらい思いを抱えて生きてこられたのだと推察いたします。でも、克服されています。あなたは、今、幸せでしょうか。20代のころはつらかったと思いますが、あなたはそのつらさを乗り越えるだけの克服する力(リジリエンス)があるのです。あなたのリストカットの痕は、あなたに生きる力があった証です。そして、あなたに生きる力があったから、今、4歳のあなたの大切な娘さんがいるのです。
 あなたがご自分で作り上げてきている人生です。誇りに思ってよいことです。

 心の疵は目に見えないので、癒されているのかどうか、自分でも分からないかもしれません。あなたが、ご自分に自信をもってこれからの人生を歩んでいくためにも、ご自分の気持ちを大切にして、その気持ちを基準に考えてください。

 お子さんとの関係は日々変化するものでもあります。話したいけれど話せないとか、ご自分の基準に迷いが生じることもあると思います。ひとりだけで考えると不安はどんどん大きくなっていきます。できれば、地域であなたが信頼できる専門家――保健師や保育士、心理士等を探してみることは、安心して子育てをしていく上で、役に立つと思います。