赤ちゃん & 子育てインフォ

ホーム妊娠・子育て相談室インターネット相談室Q&Aバックナンバー病気・予防接種

病気・予防接種

Q. 1歳1か月の息子。かぜが1か月も続いています。 (2017.6)

  • (妊娠週数・月齢)1歳1か月

1歳1か月の息子のかぜが1か月治りません。小児科は5回ほど受診しました。病院も薬も変えましたが、黄緑色の状態の鼻水・痰が止まらず、目ヤニも出てきました。インフルエンザもRSウイルスも陰性ですが、熱が上がったり下がったりを繰り返し、咳もひどくて苦しそうです。医師は「保育園でうつったのでは」と言いますが、うちの子以外に具合を悪くしている子はいないようです。体重を測ったら300g減っていました。食事・水分は問題なくとれていると思いますが、時々いつもの量の半分以下になります。排便は特に問題ないようです。この後どうすればよいのでしょうか?

回答者: 横田俊一郎先生

 年齢から考えると、最近保育園に入ったお子さんの相談かと思います。集団生活を始めると、しばらくの間、かぜ症状が続くお子さんが珍しくありません。これらを称して「保育園症候群」という病名が使われるようにもなっています。

 かぜをひきやすくなる原因を考えてみましょう。まずは集団という環境です。具合を悪くしている子が周囲にいないといっても、かぜにかかっているお子さんは必ずいるはずです。かぜを引き起こすウイルスに初めて感染すると、免疫がないのでさまざまな症状が出てきます。これが2回目、3回目の感染となると、ある程度の免疫ができているので症状がないか、あっても軽度になるのです。ウイルスは何百種類もありますので、1回かかっておしまいではなく、入園当初は次々とかぜをひくことになります。もちろん、保育環境の問題もあるのですが、狭い面積で多くのお子さんを預からなくてはならない日本では、環境の改善だけで感染症を減らすことは難しいと思います。

 また、乳幼児の鼻やのどの構造もかぜを長引かせる原因の一つです。乳幼児は副鼻腔と鼻腔が一体になったような構造をしていて、かぜをひくと副鼻腔炎にもなっていることが多く、鼻水がたくさん出ることになります。また、免疫の力も未熟なので治るのには時間がかかります。鼻水は鼻から出るばかりでなく、より多くの鼻水が鼻の奥からのどに回りますので、それが刺激になって当然咳も増えてきます。また、のどの奥は耳や目とも細い管でつながっていますので、中耳炎や結膜炎も同時に起こることが多くなります。鼻水がずっと止まらないというのはけっして珍しいことではありません。しかし、残念ながら鼻水によく効く薬はありません。薬を飲むことよりも鼻の奥に溜まった鼻水を吸引してあげることが何よりも効果的です。いろいろな器具も発売されていますので、鼻水を吸引する工夫をしてみてください。

 ウイルス感染症であるかぜに効く薬はありません。繰り返し病院へ行って薬をもらいますが、薬を飲んでもかぜは治りません。自分の中に抗体ができてウイルスを排除するから、かぜは治るのです。免疫力が弱い子どもでは、抗体がきちんとできるまでに時間がかかります。もちろん、肺炎や中耳炎を合併している可能性もあるので診察を受けることは大切ですが、病院へ行ったから治るというものではありません。

 これらのことに加え、保育園へ通い始め、新しい生活にまだ慣れない子どもはストレスが増えているので、免疫力がより低下している可能性もあり、かぜが長引く要因の一つになっているかもしれません。かぜを早く治すには、安静と睡眠を確保し、きちんとした食事をとることが大切です。食欲がなくなるので体重が減ることもありますが、かぜが治ればすぐに元に戻るはずです。お母さんが簡単に仕事を休めないという問題もありますが、無理をせず家で養生することも考えてみてください。