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性格・親のかかわり・育て方

Q. 人のものを奪い取る1歳2か月の娘。公衆の場に連れていくのが億劫になってきました。 (2017.6)

  • (妊娠週数・月齢)1歳2か月

1歳2か月の娘についての相談です。娘は、児童館や公園で他の子の物を力ずくで取ってしまい、「お友だちの物だから取ったらダメ」と言うと、大声で泣いて癇癪をおこします。ずっとこの繰り返しなので他のママさんたちも呆れ顔で、私自身も公衆の場に行くのが億劫になってきました。帰りの車では、私も毎回イライラし娘に感情的に怒ってしまうので、今後は他の子がいる場所には極力行かないようにしようと考えているのですが、実母は「どんどん出ていって教えた方がよい」と言うので迷っています。

回答者: 高橋惠子先生

 これは乳幼児の自己主張の仕方のひとつで、よく見られます。わが子だけの問題行動だと考える必要はありません。

 自分の物は触ってはだめ、そして、自分が欲しい他人の物も自分のだといって、他人に侵されたくない自分の“縄張り”を「物の所有」によって主張しているのです。この時期の子どもは、言葉で自己主張するほどには言語発達が十分ではないので、「物の所有」によって自己を主張しているわけです。親にこの行動を制止されたり叱られたりするとひどく泣いたり癇癪をおこすのは、自己を妨害された、否定された、自尊心を傷つけられた、という怒りを感じているからです。これは成長の通過点ですが、この時期の親としては大変でしょう。そこで、対処法を考えてみましょう。

 まず「物の所有」の主張は、子どもの自己主張だと理解しましょう。わがままだとか、問題行動だとして禁止すると、自尊心が傷つけられた子どもとの関係は複雑化するばかりです。まず、同年齢の子どもや年上の子どもと物をめぐってもめているときには、お互い様ですから、危険ではない限り子どもたちにまかせましょう。お互いに取ったり取られたりを経験して、順番に使おうね、貸しっこしようね、などというルールを子どもたち自身が工夫していきますので、親の出番ではありません。

 しかし、もしも、より幼い子どもの物を乱暴に取り上げたときには「それは〇〇ちゃんのだからダメ、貸してねといってからね」などと繰り返し伝えます。それでも子どもが応じなければ、遊びを中断して帰るなどの、毅然とした態度が親には必要です。そして、子どもが仲間とうまくつき合えないときには、そして、母親もイライラして限界だと思われるのなら、しばらく、子どものいる場所への参加をやめるのもよいでしょう。

 最後に、親子の間でも、子どもに無謀な自己主張をさせないことが重要だと思います。子どもが“世界の中心だ”というような扱い方をしないことです。親も明確に自己を主張し、親子、夫婦が互いの自己を大切にした上で、子どもの自己があるのだと考えることが大切だと思います。特に、母親が夫や子どもに明確に自己主張することが、子どもが自己を成長させ、それを主張するよい見本になると考えます。