気になる子どものようす
Q. ２歳の娘、私との別れ際に泣きません。 (2017.7)
- （妊娠週数・月齢）2歳
２歳の娘がいます。この春から託児所を利用し始めたのですが、別れ際に泣きません。笑顔で「ばいばい」と言われてしまいます。愛着形成がないのでしょうか。寂しいし、娘との関係が築けていないのかと不安です。娘は小さいころから人見知りや後追いがあまりありませんでした。支援センターを利用しても、私から離れても平気で黙々とひとりで遊ぶことが多かったです。そして、顔見知りのお母さんや職員の方に抱っこを求めることもありました。支援センターでも家でも、歌を歌ったり、絵本を読んだり、私と一緒にままごとをしたりと遊んだりもします。
回答者: 汐見稔幸先生
人見知りをあまりしない子は、自閉症などではないかと心配する方が多いようです。確かに、人見知りや後追いもしない子の場合、そうした発達上の障害を持っていることがないわけではありません。その意味ではご心配されるのはもっともですが、人見知りや後追いをあまりしない子でも、正常に育っている子もたくさんいるということも知っておくといいですね。
人見知りや後追いは、育て方の問題というよりは、持って生まれたその子の個性、資質によるところの方が大きいといわれています。人間には実にさまざまなタイプの子がいて、赤ちゃんのときからほとんど人見知りせず、社交的で、みんなからも好かれて育つという子もたくさんいます。人見知りをするのは、見知らぬ人に対する不安を強く感じるタイプの子ですが、その不安を打ち消す「あの人は面白い」「どんな人か興味がある」というような不安と反対の感情がとっさに湧いてこないで、不安がまさるときに起こるわけです。逆に「あの人は面白そう」とか「どんな人か興味がある」という感情がまさっている子であれば、不安をあまり感じないで、平気ではじめて会う人に接近していきます。こうした子は概して社交的で、みんなから好かれます。
もしお子さんが、たとえば目をあまり合わせようとしないとか、理解しづらいこだわりが強いとか、そうした特徴をたくさん持っているとしたら、自閉症スペクトラム症を疑って専門医を訪問されたらいいと思います。そうではない場合は、うちの子は意外と社交的タイプだったんだと了解して、気になさらな いことが肝要と思います。