赤ちゃん & 子育てインフォ

ホーム妊娠・子育て相談室インターネット相談室Q&Aバックナンバー病気・予防接種

病気・予防接種

Q. 生後3か月です。処方された抗生剤が、ワクチンの効果をなくすのではと心配です。 (2017.7)

  • (妊娠週数・月齢)3か月

先日、小児肺炎球菌、四種混合、ヒブの予防接種をしました。その2日後に、皮膚の炎症で、予防接種をした病院とは別の皮膚科で、サワシリンを出されました。ワクチンは、菌をうすめたものと把握していますが、抗生剤が、これらの菌まで殺してしまうことはあるのでしょうか?

回答者: 横田俊一郎先生

 薬を飲んでいるとワクチンが効かないのではないかというご心配は、予防接種をしているとよく受ける相談です。

 ワクチンは生ワクチンと不活化ワクチンに大きく分けられます。生ワクチンは生きた細菌やウイルスの毒性を弱めたもの、不活化ワクチンは細菌やウイルスを殺し免疫を作るのに必要な成分を取り出し、毒性をなくして作ったものです。

 生きた細菌が入っていれば、確かに抗生剤がワクチンの細菌を殺してしまう可能性はあるのですが、小児用肺炎球菌、四種混合、ヒブはすべて不活化ワクチンなので生きた菌は入っていません。免疫を作るのに必要な成分だけがはいっているので、これらは抗生剤を飲んでも効果が無くなったり薄まったりすることはないのです。

 生ワクチンには麻しん風しんワクチン、水痘ワクチン、おたふくかぜワクチンなどがあり、これらには生きたウイルスが入っています。しかし、抗生剤は細菌には効きますがウイルスにはまったく効果はありませんので、接種した後に抗生剤を飲んでも効果に問題はおきません。ただし、川崎病のように大量ガンマグロブリン療法という治療を行うと、一時的にウイルスの抗体が血液中に増加するので、ワクチンの中のウイルスが増えることができず免疫ができないことがあります。そこで、大量ガンマグロブリン療法の後には6か月の間隔をおいてから、生ワクチンを接種することになっています(ただし、BCGとロタウイルスワクチンは生ワクチンですが、大量ガンマグロブリンの影響を受けないので間隔をあける必要がありません)。同じ理由で、重症のウイルス感染症の後には一時的に免疫がつきにくくなることがあるので、病気が治った後1~2週間あけて生ワクチンを接種することが勧められています。また、BCGは生きた結核菌が入っていますが、結核菌には上気道炎や気管支炎に使う抗生剤は効果がありませんので、BCGの後に抗生剤を使うことも、ワクチンの効果という面では問題ありません。