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歯とお口のケア

Q. 11か月の娘が、やたらといろんなものに噛みつくので心配です。やめさせるにはどうすればよいですか? (2017.8)

  • (妊娠週数・月齢)11か月

11か月になる娘ですが、乳歯が上下二本ずつ生えてきています。最近、いろんなものに強く噛みつき、歯形がつきます。固いものを歯形がつくほど噛んで、歯に悪い影響が出ないか心配です。なぜ、こんなに噛みつくようになったのでしょうか? どうやって注意すればいいのでしょうか? やめさせる方法、対処方法などはあるでしょうか? お友だちに怪我をさせるのではないか、それも心配です。

回答者: 井上美津子先生

 乳児期は、手に触れたものをなんでも口に持っていくのが特徴ともいえます。乳歯が生える前はなめたりしゃぶったりしますが、乳歯が生えてからは、噛んだりかじったりという行動に移行します。まだ目で見たり、指で触っただけでは認識しきれないものを、最も感覚が鋭敏な口を使って確認していると考えられます。上下の前歯が生えてきた時期には、いろいろなものを噛んでみるという行動がみられやすく、新しく生えてきた歯を使って噛んだ時の感触を学習しているものと思われ、これは発達の自然な一過程ともいえます。この時期には、歯ぎしりがさかんになる赤ちゃんもいますが、これも上下の歯の当たり具合を学習しているものと解釈されています。

 多くの場合、一時的なものですので見守っていけばよいと思いますが、硬いものでも何でも噛んでしまうのでは、保護者としては心配でしょう。ただ、赤ちゃんはいろいろなものを噛みながら力の調節を覚えていくので、自分で噛む力で歯が折れてしまうことは殆ど考えられません。強く噛んで痛みを感じると、そこで噛むのをやめることも覚えていくものと考えられます。

 しかし、歯が入り込むような玩具(金属製の乗り物など)は危険です。また、つかまり立ちなどしながらおもちゃを噛んでいて、転ぶことがないよう気をつけましょう。赤ちゃんには安全なものと危険なものを選び分ける能力はないので、口に持っていくものの安全性には十分注意し(噛み遊びを楽しめるような玩具を用意してあげるのも一案です)、噛むと危ない家具には近づきにくいような工夫が必要です。

 1歳を過ぎても噛み癖が続いている場合は、一緒におしゃべりをしたり、本を読んであげたり、外遊びに誘ったり、手や口を使った遊びなどをして、噛むことより楽しいことを探してあげましょう。なぜやめなければいけないのか分かる年齢ではないので、「やめなさい」と注意するより、気分を変えてほかの遊びに誘うなど興味を拡げてあげる方が得策です。

 ものを噛むという確認行動と、人を噛むという攻撃的行動は別ものと考えられますが、言葉で自分の気持ちを表現できない時期には、気分解消のために親や他の子どもに噛みつく行動がみられることもあります。この場合も、叱っても分からない時期ですが、噛むのをやめさせて気持ちが収まるのを待つとともに、他人を噛むのはよくないということを、子どもの目を見て真剣に言い聞かせることも大切でしょう。言葉は分からなくても、親の気持ちはそれなりに伝わるものと考えられます。