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ママ・パパの気持ち

Q. シングルマザーで実家に同居。3歳半の娘が祖母にばかりなつくように。 (2018.7)

  • (妊娠週数・月齢)3歳

シングルマザーで、実家で3歳半の女の子を育てています。保育園のお迎えは祖父母がしています。祖母は娘に甘く、娘も私が少しでも叱ると祖母のところへ泣きながら寄っていきます。祖母は「泣かせるなんてかわいそう」と私を悪者扱いします。以前は、それでも娘はママ大好きと寄ってきてくれたのに、今ではもっぱら祖母にべったり。食事ですら口を開けて、祖母が口に食べ物を入れてくれるのを待っている状態で、寝るときも祖母が良いと泣きわめきます。起きてから寝るまで子どもとまともに接することなく終わる日が増えてきて、寂しさと悔しさでこころが折れそうです。祖父からも祖母へ話してもらっていますが聞く耳を持たず、私を存在しないかのように扱い、自分が母親気取りです。子どもとの溝が埋められない情けなさで毎日涙が止まりません。どうすればいいのでしょうか。

回答者: 高橋惠子先生

 子どもには、自分の身の安全や心の安心をもたらしてくれる人「愛着の対象」が、生きるために必要です。そして、質問者のお子さんの場合には、働いている母親の代わりを上手にしてくれた祖母が、この「愛着の対象」になっているということでしょう。「愛着の対象」は安全地帯にたとえられます。子どもは困ったり(たとえば、他のおとなに叱られた、何かをしくじったとき)、心細いと感じる(たとえば、眠いとき、お腹がへったとき)に、安全地帯を頼って安心を取り戻そうとするのです。安全地帯は子どもの心の安定にとって不可欠なものです。

 けれども、このような子どもと祖母の“密着状態”に接して、母親が寂しい思いをするのは当然です。「私が産んだのに」「子どものために一所懸命働いているのに」と、存在を否定されているような悔しい思いがするのはよく理解できます。“おばあちゃん子”や“パパっ子”の母親に共通する悩みだからです。

 しかし、考えてみると、このような“子ども―祖母関係”をつくったのは、赤ちゃんのときからの大人たちの事情のせいで、決して、子どもや祖母が悪いわけではありません。二人を責めてはいけません。まず、子どもが心の安定のための「愛着の対象」を持てたことに感謝しましょう。「愛着の対象」は母親でなくても何も問題はありません。そして、子どもが無事に幼児期に入ったことは幸運なことだと考えましょう。いよいよ、子どもの発達に責任がある親としてのお母さんの出番です。

 まず、子どもの生活を点検してみてください。

 3歳半の子どもの身近な人間関係について、子どもに面接調査をしてみますと、幼児でも数人の大切な人を選んでいることがわかりました。両親、きょうだい、祖父母、おばやおじ、いとこ、保育園の先生、友だちなど身近な人から選んで答えるのです。こうして選ばれた数人の中のひとりが「愛着の対象」です。愛着の対象は病気になったときには近くにいてほしい人ですが、遊ぶ相手は友だち、パズルを教えてくれるのは年上のいとこ、絵本を読んでくれるのは保育園の先生、ドライブに行くのは父親、などと、日常生活のそれぞれの場面での本人にとっての“ベストパートナー”が、誰であるかを知っていることがわかりました。

 そこで、あなたのお子さんの人間関係を考えてみてください。

 人間関係は豊かに広がっているでしょうか。体力的にも精神的にもぐんと成長する3歳半になれば、子どもが関わる人は広がり、興味の内容も豊かになるはずです。もしも、子どもの生活が祖母中心になりすぎているようであれば、人間関係を広げ、新しい経験をさせるのは母親の役割です。祖母と“愛着の対象の座”を張り合うのではなく、母親でなければできない方法で、子どもとつき合い、子どもの成長を応援しましょう。

 たとえば、親子で図書館に行って本を借りて読み聞かせをする、母子でクッキー作りに挑戦しそのための買い出しに二人で出かける、親子で参加できる児童館や公民館などの行事を利用して楽しむ、友だちと遊ぶ機会を用意する等々です。このような活動を通して、子どもだけではなく、母親も、新しい経験をし、成長することができるでしょう。

 これから子育てはいよいよ面白くなります。子どもが成長していく過程で、たとえ成人した後でも、親は子どもに尊敬される身近な人であり続けることが、可能ですし、大切だと私は考えます。