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母乳とミルク・授乳

Q. 3か月。陥没乳頭で、完全母乳を目指すのは難しいでしょうか? (2018.8)

  • (妊娠週数・月齢)3か月

生後3か月の男の子です。1 か月までは陥没乳首でおっぱいを拒絶され、1週間、乳首をくわえさせることさえも諦めてました。その後、少しずつおっぱいをくわえてくれるようになり、嬉しくて完全母乳を目指すようになりました。現在、混合栄養で、夜中の授乳以外は、母乳にミルクを毎回60〜100cc足しています。 頑張れそうな日は母乳のみで頑張りますが、乳首をくわえては数分で寝る→降ろすと泣く→もう片方のおっぱい→寝る→泣く…の繰り返しです。ミルクを作ってあげると、寝ずにごくごく飲んでご機嫌です。そのたびに罪悪感を感じます。3か月になると母乳も軌道にのると聞いていましたが、もう難しいのでしょうか? 試しに手で搾乳したら、数分は勢いよく出て、30ccほど出た後はじわじわ出る感じでした。

回答者: 市川香織先生

 陥没乳頭の悩みを抱えながら、生後3か月の現在まで頑張って母乳を吸わせてこられたのですね。ここまでの努力のおかげで、混合栄養ながらも、赤ちゃんは母乳に吸いついてくれるようになっていますし、とても頑張ってこられましたね。搾乳してみると勢いよくお乳も出ているようですので、分泌に問題はないと考えられます。

 陥没乳頭でも完全母乳を目指すことはもちろん可能です。ただ、お母様も感じている通り、少し時間がかかる場合が多いのです。赤ちゃんは母乳を吸うときに乳首だけに吸いつくわけではありません。乳輪全体を口に含んで、赤ちゃんの舌で丸め込むようにしながら、母乳を搾りだすように飲むのです。この赤ちゃんの技術は、大人が手で搾乳しようとしても、赤ちゃんの哺乳ほど上手にはできないと言われるくらいすごいのです。そうは言っても、赤ちゃん自身も生まれてすぐは力も弱く、初めてのことなのでうまくいきません。乳輪から乳首全体が赤ちゃんの舌と口でしごけるほど柔らかくなってくれば、徐々に赤ちゃんも本来の技術を使ってうまく飲めるようになるのですが、陥没乳頭の場合は、乳首の周りの乳輪までも硬くなっている場合が多く、赤ちゃんの吸う力がまだ弱く、口全体で乳輪まで含むことが難しい時期は、うまく舌の上にのらず滑ってしまう場合があり、赤ちゃんもお母様も苦労します。

 乳輪全体から乳首にかけてが柔らかくなってさえいれば、実は、乳首が突出していようがいまいが関係なく、赤ちゃんは母乳を飲みとれます。つまり、乳輪の柔らかさが母乳育児を軌道に乗せるポイントになります。乳輪や乳首を柔らかくするには、乳輪まで深くくわえてもらい吸ってもらうこと、これには授乳をする姿勢も大事です。赤ちゃんの口とお母様の体の向きがちゃんと正面から向いていること、深く奥までくわえられる態勢をとることが必要です。また、授乳と授乳の間が3時間以上空いてしまったときは乳輪をほぐすようにマッサージしてから吸わせるのもよいですね。

 それでもなかなかうまくいかない、すぐに乳首を離してしまって吸い続けてくれない、そんなときは病院の母乳外来や母乳ケアをしてくれる助産院でケアを受けてみましょう。3か月くらいは、陥没乳頭でなくてもトラブルを起こしやすい時期でもあります。飲み方が浅飲みになってしまって頻繁に泣くようになったり、なかには乳腺炎を起こしたりする人もいます。乳房の状態や赤ちゃんの飲み方を客観的に見てもらい、適切なアドバイスをもらうことで、今からでも母乳の分泌を増やし、母乳だけに切り替えていく道筋も見えてくると思います。母乳育児は長い期間続くことです。この道のりに寄り添ってもらえる専門家である助産師をパートナーに持つと心強いことでしょう。

 また、母乳育児にとってストレスは大敵。3か月くらいまではどうしても家の中で赤ちゃんと二人で閉じこもりがちなので、ストレスもたまります。たまにはおいしいものを食べたり、外出したり、友人とおしゃべりをしたりする時間を作ることも大切です。気持ちと体がリラックスできると母乳の分泌も増えますし、赤ちゃんとも楽しく過ごせることでしょう。母乳にとらわれ過ぎず、ミルクの力も借りながら、徐々に母乳に移行していく形になるといいですね。