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病気・予防接種

Q. 肛門が切れ、毎回号泣しながら排便する1歳5か月の娘。何か改善策はありますか? (2018.11)

  • (妊娠週数・月齢)1歳5か月

1歳5か月の女児です。離乳食開始ごろから形のある便が出始め、あるとき肛門が切れたようです。小児科でマルツエキスを出してもらい、朝晩の2回、飲ませるようになったら、ほぼ毎日出るように。それでも肛門が切れる痛みからか、毎回汗だくで大号泣しながら排便します。切れたところに薬を塗っていますが、傷が治るまでに至りません。排便のたびに泣く娘を見ているのがつらく、なんとかしてあげたいのですが、肛門の傷は治りにくいのでしょうか。排便の痛みや恐怖をやわらげる方法はないでしょうか。

回答者: 横田俊一郎先生

 肛門が切れて排便時に痛がるという相談は、小児科ではとっても多いものです。治るのに時間がかかることもありますが、必ず治る病気なので、辛抱強くしっかり手当てをしてあげることが大切です。

 離乳食が始まると赤ちゃんの便もだんだん大人の便に近づいてきます。時には硬くなることもあって、その便が肛門を通るときに肛門が切れることがよくあります。これを「肛門裂傷」と呼びます。赤ちゃんの肛門の皮膚は薄いので、比較的簡単に切れることが多いです。すぐに治ってしまうこともありますが、便が硬いために長期間続くこともあります。

 排便時の痛みがひどいと子どもは排便を我慢してしまうことがあり、それが便秘をさらに悪化させるという悪循環に陥ってしまうことも少なくありません。便秘を改善する方法としてマルツエキスもよく使われます。マルツエキスは麦芽糖が主成分で、便を軟らかくし腸蠕動(ちょうぜんどう)を亢進させます。その他にもいくつかの治療があり、治療については日本小児栄養消化器肝臓学会と日本小児消化管機能研究会が「小児慢性機能性便秘症 診療ガイドライン」を出していますので参考にしてください。
http://www.jspghan.org/constipation/files/guideline.pdf
 便秘を改善するためにも肛門裂傷の手当ては大切です。まずは便を軟らかくすることが必要なので、それは上記のガイドラインを参考にして小児科で治療を受けてください。

 次に、切れている肛門をどのように修復するかが問題です。まず痛みを緩和するために、排便後にお尻拭きなどで強く拭かず、洗面器に張ったぬるま湯などできれいに洗ってください。石けんを使ってもかまいませんので、便が残らないようにしてください。そして、ワセリンなどの軟膏を患部に塗っておくことが大切で、小児科では成人の痔の塗り薬を使うことがよくあります。よく使われるボラザGという軟膏には痛み止めが入っています。肛門を少し広げて、切れている所に薬を塗っておくことが大切です。

 肛門の切れた場所の上の皮膚が腫れて、イボのように見えることもよくあります。女児で多く、このイボを気にして受診する方も少なくありません。肛門を広げてみるとこのイボの下に大きな裂傷があり、肛門を見張っているような感じなので「見張りイボ」と呼ばれることもあります。

 大きく切れた肛門裂傷はすぐには治らず、排便時の痛みがかわいそうですが、治療を続けていけば必ず改善していきます。かかりつけ医と相談しつつ、あせらず辛抱強く治療を続けてください。