赤ちゃん & 子育てインフォ

ホーム妊娠・子育て相談室インターネット相談室Q&Aバックナンバー歯とお口のケア

歯とお口のケア

Q. 前歯を折ってしまった3歳の娘。生えかわるまで、ぐらついたままで過ごすのでしょうか? (2018.12)

  • (妊娠週数・月齢)3歳

3歳の娘が、コンクリートに前歯を打ちつけてしまい、2本を歯根破折してしまいました。根の近くで折れています。現在ワイヤーで固定していますが、数か月で外してしまうようです。その後、ぐらついたまま生えかわるまでの数年を過ごさなくてはならないのでしょうか? 本人は歯が痛いと言っていて、食事も進みません。

回答者: 井上美津子先生

 娘さんが、外傷で歯に痛みがあり食事も進まないとのこと、親としてもご心配でしょうね。ただ、すでにワイヤーによる固定処置を受けているとのことですので、できるだけ安静にして周囲の骨(歯槽骨)の治癒を待ってください。硬いものを前歯で噛まない、指しゃぶりをしないなどの注意も必要です。ぐらぐらのままですと、歯と歯肉の間から細菌が侵入して感染が起こり、歯肉が腫れたり、破折部の歯根(写真参照)や歯槽骨の吸収が起きたりしてしまいます。細菌感染を防ぐためには、歯の清掃をしっかり行って、口の中の清潔を保っておくことも大切です。

 歯根の破折部位によっても、ぐらぐらになった歯の予後が変わってきます。歯根の深いところで破折した場合は、歯肉よりの歯根が比較的長く骨の中に残っているので、固定によってぐらつきがおさまりやすいのですが、歯肉より(歯頸部近く)で破折した場合は、骨の中に残っている歯根が短いので、固定を外すと、少しの刺激で再びぐらつきやすくなりがちです。

 骨折した場合の固定期間は1~2か月ですが、破折歯の固定ではもう少し長くなることも多いと思います。ワイヤー固定を外した段階で、ぐらつきの治り具合や歯根の状態をチェックしてもらい、次の対応を歯科医師とよく相談してください。

 ぐらつきが少なくなって、エックス線写真で歯根や周りの骨に異常な吸収などがなければ、そのまま様子をみていけばよいでしょう。あまり硬い食べ物などは避けた方が無難ですが、通常の食事にそれほど不自由はないと思われます。永久歯に生えかわるまで、定期的に歯科受診して経過を診てもらいましょう。

 ただ、破折したところから歯根の吸収が起こっていたり、感染などにより歯根周囲の骨に吸収が起こっていたりすると、ぐらつきがおさまらないことが多いです。また、乳歯はもともと永久歯が生えるときに歯根が吸収されてなくなる歯なので、外傷などによる刺激でも歯根吸収が生じることが考えられます。固定を外した段階でぐらつきが治っていない場合は、歯の保存は難しいかもしれません。ぐらぐらの前歯で生えかわりまでの何年間も過ごすのはお子さんにも負担が大きいと思われますので、次の治療方針を歯科医師と十分相談しましょう。3歳を過ぎていれば、たとえ抜歯ということになっても、入れ歯のような装置で前歯を補うことができるので、審美的にも機能的にも回復が図れます。

歯とお口のケア