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発育・発達

Q. 2歳10か月。1歳半健診で低身長低体重との指摘。何かの病気でしょうか? (2018.12)

  • (妊娠週数・月齢)2歳

息子は、出生時、47cm2814gで生まれてきました。6か月で64cm 6200g、1歳で70.8cm 8020gだったのですが、1歳半健診の際に、低身長低体重と指摘されました。その際の身長体重は77.3cm 9000gでした。10か月まで母乳とミルクの混合、その後断乳し、ミルクのみを1歳3か月まで飲ませていました。1歳までの母乳とミルク不足が低身長の原因だとネットでみましたが、本当でしょうか?2歳で82cm 9100g、2歳10か月で86.5cm 10.5㎏となりましたが、体重は成長曲線から外れ、1歳半から1kgしか増えていません。体重が増えていないのは何か病気でしょうか? 便はいまだに軟便で、2歳までは1日3~4回。その後は1日1~2回です。また、今現在低身長だと、将来も平均身長まで伸びることは難しいのでしょうか? ちなみに主人169cm 私159cmです。

回答者: 横田俊一郎先生

 体格が小さいという心配で来院する方は小児科ではたいへん多く、乳幼児健診で指摘されて心配になったという方もあとを絶ちません。

 まず、ご相談のお子さんがどの程度体格が小さいかを確認してみましょう。ご連絡いただいた身長と体重を成長曲線に記してみました(添付の図)。一番下の曲線は「-2SD」です。SDは標準偏差の略語で、平均±2SD以内に全体の95.45%の子どもが含まれ、この範囲を正常範囲と考え、-2SD以下を低身長と定義するのが一般的です。この定義によれば、低身長の子どもは全体で約2.3%(約80人に1人)いることになります。

 ご相談のお子さんの身長は、低い方ですが-2SDよりは高い位置にあり低身長の定義に当てはまらないことがわかります。体重はちょうど-2SDのあたりですが、子どもの肥満度を示すカウプ指数では約14であり、やせ気味ではありますがやせ過ぎというほどではありません。また、いままでの経過を見ても、成長曲線に沿って増えてきており、急に小さくなってきたというようにも見受けられません。身長の伸びが急に止まったときには、脳腫瘍をはじめとしてさまざまな病気を考えなくてはなりませんが、そのような可能性はないと思います。

 ご両親の身長は、ほぼ平均的なので遺伝的ということもないようです。体格は確かに栄養と関係はありますが、1歳までの母乳やミルクの不足が直接の原因となるということは科学的には証明されていないと思います。また、この程度の軟便では、成長に問題が起こる病気があるとは考えにくいと思います。一方、どのような在胎週数で生まれてきたかも大切です。予定日よりもだいぶ早く生まれた子どもでは、しばらく体格が小さいことが少なくありません。ご心配が強ければ、総合病院小児科の内分泌外来や内分泌専門のクリニックで相談し、原因となる病気が隠れていないかどうか検査してみることをお勧めします。

 最終身長がどうなるかは判断が難しいですが、私が信頼している「たなか成長クリニック」のホームページ(http://tanaka-growth-clinic.com/teishincho/tsc.html)には、「ホルモン的に異常がないからといって、最終身長が必ず正常になるとは限りません。ホルモン的に異常のない多くの体質的な低身長児の6~7割は、成人身長は正常化しますが、これは思春期が少し遅くなることにより後から追いつく形で正常身長になります。しかし、残りの3~4割の体質的な低身長児は、思春期が標準的な時期またはすこし早めに来てしまい、低身長のまま終わってしまいます。特に未熟児で生まれた子どもに思春期が早くくる傾向があります。ホルモン的に異常がないからと安心せず、定期的に小児内分泌専門医の診察を受けて下さい。」と書かれています。

 低身長や低体重があるから病気だ、というわけではありません。きちんと相談に乗ってもらえる小児科医を見つけていただくことが、まずは必要だと思います。

成長曲線